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2013 年度 実績報告書

DNAクロスリンク修復におけるCtIPヌクレアーゼ制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24310042
研究機関京都大学

研究代表者

高田 穣  京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (30281728)

研究分担者 海野 純也  京都大学, 放射線生物研究センター, 研究員 (50614153)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードファンコニ貧血 / FANCD2 / CtIP / モノユビキチン化
研究概要

ゲノムがDNAクロスリンク傷害をうけると、ファンコニ貧血(FA)経路の活性化によってFANCD2/FANCI(ID)複合体がモノユビキチン化をうけ、DNA傷害部位に結合する。我々は、FANCD2に会合するあらたなエフェクター分子として、DNA二重鎖切断修復に重要なヌクレアーゼ因子であるCtIP蛋白質を同定した。本研究は、この発見をもとにCtIPのID複合体による制御機構を解析し、DNAクロスリンク修復における役割を解明しようとするものである。FAの病態解明と、将来のFA経路の人為的操作へとつながる成果を目指す。
本年度までに以下の諸点を明らかにした。
精製したヒトFANCD2複合体に、FANCIなどの既知の会合蛋白以外にCtIPの存在を確認した(首都大学東京、礒辺教授らとの共同研究)。さらに精製したFANCD2と(早稲田大 胡桃坂教授との共同研究)と購入したGST-CtIPとのインビトロの結合をプルダウンによって確認した。さらに、CtIPとFANCD2の会合は、免疫沈降法、酵母2ハイブリッド法、ほ乳類細胞における2ハイブリッド法などでも確認された。FANCD2は、クロスリンク障害部位に集積してフォーカスを形成するが、CtIPのフォーカス形成はFANCD2と共局在しており、さらにFANCD2の存在とユビキチン化に依存していた。さらに、CtIPとFANCD2との会合ドメインの同定に成功した。さらに、今年度は、CtIP点変異による会合不能の変異体を作製し、フォーカス形成が不能となり、機能的にはMMC感受性がマイルドに亢進することを見出した。また、CtIPはユビキチンと結合可能であることも確認した。しかし、インビトロの結合反応でみると、CtIPとFANCD2の会合の強さはユビキチン化の有無に関係なかった(早稲田大学胡桃坂研究室との共同研究)。これらの結果をまとめ、現在投稿中。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予想していなかったCtIPのユビキチンとの結合能を発見した。また、これらの結果をまとめ、現在投稿中であるため、順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

CtIPのユビキチン結合ドメインをマッピングする。また、FANCD2がクロスリンク修復においてCtIP以外にヌクレアーゼをリクルートすることがわかっているが、この点と、DNA損傷応答シグナルの関係を解明する。さらに、DNA二重鎖切断修復におけるFANCD2の役割がやはりCtIPリクルートで説明される可能性を検証する。これらは、いずれも重要な問題であり、解決によって本研究の成果をより価値あるものにできる。

次年度の研究費の使用計画

今年度使用額が減じたのは、主に代表者と分担者に生じた不測の事態によるものである。たとえば、代表者は海外出張をもう一回行う予定であったが、様々な理由によりできなくなり、出張費が使用できなかった。また、研究支援者の雇用の予定が、適切な人物が見つけられず、不可能となった。分担者が年度途中で辞職し、それ以降消耗品の使用が減じた。また、投稿中の論文がアクセプトにいたらず、投稿費用が不要となった。
論文の投稿費用、新規の機器導入、実験の消耗品代として主に使用される。また、新規に雇用された研究員があたらに分担者となったので、消耗品としての使用が増加する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Tumor suppressor RecQL5 controls recombination induced by DNA crosslinking agents.2014

    • 著者名/発表者名
      Hosono Y, Abe T, Ishiai M, Islam MN, Arakawa H, Wang W, Takeda S, Ishii Y, Takata M, Seki M, Enomoto T.
    • 雑誌名

      Biochim Biophys Acta.

      巻: 1843 ページ: 1002-12

    • DOI

      10.1016/j.bbamcr.2014.01.005.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A novel interplay between the Fanconi anemia core complex and ATR-ATRIP kinase during DNA cross-link repair.2013

    • 著者名/発表者名
      Tomida J, Itaya A, Shigechi T, Unno J, Uchida E, Ikura M, Masuda Y, Matsuda S, Adachi J, Kobayashi M, Meetei AR, Maehara Y, Yamamoto KI, Kamiya K, Matsuura A, Matsuda T, Ikura T, Ishiai M, Takata M.
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Res.

      巻: 41 ページ: 6930-6941

    • DOI

      10.1093/nar/gkt467

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Variant ALDH2 is associated with accelerated progression of bone marrow failure in Japanese Fanconi anemia patients.2013

    • 著者名/発表者名
      Hira A, Yabe H, Yoshida K, Okuno Y, Shiraishi Y, Chiba K, Tanaka H, Miyano S, Nakamura J, Kojima S, Ogawa S, Matsuo K, Takata M, Yabe M.
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 122 ページ: 3206-9

    • DOI

      10.1182/blood-2013-06-507962

    • 査読あり
  • [学会発表] FANCD2 in chromatin anchors CtIP and regulates DNA end resection during crosslink repair.2013

    • 著者名/発表者名
      J. Unno, A. Itaya, M. Taoka, K. Sato, J. Tomida, W. Sakai, T. Ikura, T. Isobe, H. Kurumizaka, M. Takata
    • 学会等名
      25th Annual Fanconi anemia research fund Scientific Symposium
    • 発表場所
      Houston, Texas, USA
    • 年月日
      20131024-20141027
  • [学会発表] プログレス教育講演  「ファンコニ貧血とDNAクロスリンク修復の分子機構 ー最近の進歩ー」2013

    • 著者名/発表者名
      高田 穣
    • 学会等名
      日本血液学会
    • 発表場所
      札幌市
    • 年月日
      20131011-20131013
    • 招待講演
  • [学会発表] Fanconi貧血とゲノム不安定性

    • 著者名/発表者名
      高田 穣
    • 学会等名
      第13回血液フォーラム21 -造血不全-
    • 発表場所
      東京フォーラム
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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