研究課題
放射線防護基準は公衆に対して一律に定められているが、放射線感受性には個人差があり、将来的には個々人の感受性に応じて放射線防護基準を設定することも可能であると思われる。本申請研究は、このような次世代の放射線防護体系の確立に向けて、日本人の放射線感受性の個人差を規定するSNPの同定を目指しており、放射線リスクコミュニケーションを構築する上で重要な分子基盤を提供する。本年度は、多数の健常人からB細胞株を樹立して微小核形成率を測定するとともに、分裂期チェックポイントの先天性欠損症であるPCS症候群患者の家系サンプルを用いて微小核形成率を測定した。その結果、PCS症候群患者細胞のキネトコア陽性微小核の形成率が放射線線量に関わらず高値を示したことから、微小核形成法はDNA修復能だけではなく染色体分配異常の個人差の検出にも利用できる可能性が示唆された。今後は多検体のB細胞株の微小核形成率を測定して、DNA修復能と染色体分配能力の個人差を明らかにする予定であり、これに向けて自動計測機器を利用したオートマチック解析を進めている。
3: やや遅れている
予想以上に微小核形成法の放射線照射後のバックグランドが高かったため。
放射線感受性の候補SNPを保有する細胞株を用いて、各細胞の微小核形成率を測定する。
微小核形成法の放射線照射後のバックグランドを低減できるまで、正常細胞株の購入を控えたため。正常ヒトB細胞株の購入を進めて、放射線感受性アッセイを実施する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件)
Proc Natl Acad Sci U S A
巻: 111 ページ: 1461-1466
doi: 10.1073/pnas.1317008111
J Neurol Sci
巻: 337 ページ: 19-223
doi: 10.1016/j.jns.2013.11.032
Sci Rep
巻: 3 ページ: 3379-3379
doi: 10.1038/srep03379