放射線防護基準は公衆に一律に定められているが、放射線感受性には個人差があることが知られており、将来的には個々人の感受性に応じて放射線防護基準を設定することも可能になると思われる。 微小核法を用いて健常者集団の末梢血リンパ球を検討したところ、一部のヒトは微小核頻度が再現性をもって高値を示し、放射線感受性に個人差があることが明らかとなった。さらに、DNA修復欠損症家系の血液サンプルなどを用いて放射線感受性の分布を調べたところ、遺伝子変異の保因者に中等度の放射線感受性を見出した。すなわち、DNA修復遺伝子の変異または一塩基多型が放射線感受性の個人差を規定する遺伝的素因の有力な候補と考えられた。
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