研究課題
環境化学物質の生体への影響,とりわけ複合影響は未だに良く理解されていない.我々は,化合物の影響をストレス応答として捉え,ERストレス等が有用なバイオマーカーとなるか否かを調べた.本年度は以下の実験成績を得た.精巣セルトリや口腔上皮細胞において,フッ化ナトリウム (NAF) やビスフェノールA (BPA) は各々単独でERストレスを誘導した.細胞死やERストレスを介したアポトーシスに関与するDDIT3 (DNA damage inducible transcript 3) を指標にして,これらの複合影響を観察したところ,少なくとも相加的な影響であることが示された.ERストレスに関連する転写因子ATF6の応答配列を利用したレポーターアッセイ系を用いて,より高感度なアッセイ系を構築した.ERストレス誘導薬であるツニカマイシンやサプシガルギンは,このアッセイ系で鋭敏に反応した.一方,予想に反してNAFやBPAのこの系による応答は低レベルであった.ダイオキシンTCDDの妊娠マウスへの投与は,高用量5000 ng/kgで胎児マウスの歯状回の神経細胞数を有意に減少させた.また,低用量20 ng/kgから海馬の細胞増殖活性を低下させることが判った.慢性予測不能ストレスを負荷したマウスにおいて,ネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの投与 (10-50 mg/kg/day) はマウスの自発運動量には影響を及ぼさなかったが,不安様行動が有意に亢進することが示された.また,本化合物により,精上皮の空胞化,抗酸化酵素の減少が形態学的に観察された.海洋生物ウニにおいて,水酸化多環芳香族炭化水素がウニ胚の骨片形成を抑制することを明らかにした.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Comp Biochem Physiol C Toxicol Pharmacol
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http://www.lsrc.u-toyama.ac.jp/index.htm