研究課題/領域番号 |
24310047
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
八木 孝司 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80182301)
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研究分担者 |
児玉 靖司 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (00195744)
杉本 憲治 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40196746)
川西 優喜 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教 (70332963)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境変異原 / DNA損傷 / 小核試験 / 蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
小核誘導は国の遺伝毒性試験の1つに位置づけられている。近年、申請者らは新しいライブセルイメージング法により重要な発見をした。すなわち変異原処理後の哺乳類細胞に誘導される小核は、最初の分裂時のみならず、正常分裂した後2回目・3回目の分裂時にも誘導されることである(これを遅延性小核誘導と呼ぶ)。本研究の目的はこの現象を詳細に検討し、その機構を明らかにすることである。 DNAへの作用機構が異なる既知の代表的環境変異原(X線、UV、種々の化学物質)を、オルガネラ(核、核膜、核小体、細胞膜、ミトコンドリアなど)を可視化した哺乳類細胞(マウスm5S細胞、CHO AA8細胞(どちらもHistone H3がmCherryで標識され、核が赤色蛍光を発する))に処理した後、小核形成過程をライブセルイメージング法(72時間タイムラプス撮影)で追跡し、起こった即発性および遅延性小核形成に損傷の種類が依存するかどうか、DNA二重鎖切断または染色体不分離のどちらが関わるか、どのようなDNA修復機構が関わるかを明らかにする。さらにこれらの小核形成と細胞周期停止・アポトーシスとの関係を明らかにする。 本年度はCHO AA8細胞を用いて、X線(DNA鎖切断および塩基損傷を起こす)、UV(ピリミジンダイマーを形成)、MNU(塩基をメチル化)、コルヒチン(M期紡錘糸形成を阻害)が70%以上の生存率を与える線量または濃度の処理を行い、その後UVは処理後最初の分裂で小核を多く誘導するが、コルヒチンは2回目の分裂で小核を多く誘導させることがわかった。多色標識した細胞ではMMC処理後の細胞死までの過程を、ミトコンドリア膜電位の変化、活性酸素誘導などで追跡できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた研究に加えて、固定染色による小核誘導に関するデータを多く得ることができ、初年度にもかかわらず4件の学会発表をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
八木・児玉・川西は、変異原の作用機序により小核誘導が区別できるかどうか、UV、MNU、コルヒチン、過酸化水素処理後の細胞分裂を72時間タイムラプス撮影して細胞系譜解析を行なう。さらに児玉は小核が染色体不分離によるか染色体切断によるかを同原体およびテロメアFISH解析で明らかにする。杉本は、変異原の作用機序により細胞周期停止位置が区別できるかどうか、5種類の細胞内小器官を各5色の蛍光染色で調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度当初の予定とは異なり、ライブセルイメージング装置のレンタルが不要となったため、繰り越し金が生じた。第2年度は研究の大きな進捗が予想されるため、主に人件費(謝金)と消耗品の購入に、繰り越した助成金を25年度の経費に加えて使用することで研究目標を達成する。物品費2,969,535円、旅費400,000円、人件費・謝金2,500,000円、その他50,000円、合計5,919,535円の使用を予定している。
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