研究課題/領域番号 |
24310049
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (00258500)
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研究分担者 |
古賀 信幸 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (80136514)
遠藤 哲也 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10133216)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 臭素化合物 / クジラ / 血清 / 代謝 / 抗酸化活性 / 内分泌かく乱性 |
研究概要 |
1日本近海の座礁クジラに残留する化学物質のうち、天然由来臭素化合物(methoxy-PBDEなど)の残留特性について種差および地域差を調査した。北海道の日本海側、オホーツク海側および太平洋側で座礁したbeaked whale,Dall's porpoiseおよびsperm whaleの脂肪組織および血液を分析した結果、2種のbipyrrole類および4種のmethoxy-PBDE類の残留組成の違いが明らかになり、これらは日本近海の環境汚染評価のbiomarkerになると考えられる。 2.ヒト由来試料のうち血清中の天然由来フェノール性臭素化合物の残留濃度の過去20年間の推移を調査した。塩素系のPOPsやPCB代謝物が減少傾向にあるのに対し、6-hydroxy-BDE47は一定の濃度で推移し2010年では4-hydroxy-PCB187より高濃度で残留していることがわかった。一方、母乳中の残留成分について調査した結果、そのメチル化体6-methoxy-PBD47および2'-methoxy-BDE68が母乳脂肪に残留していることが分かった。これらの影響評価が求められる。 3.環境生物が産出する残留性の高いメトキシPBDE関連物質について、海藻から新規に臭素化カテコール、グアヤコールおよびベラトロールを検出し化学構造を決定した。テトラブロモカテコールおよびそのメチル化体はDPPHラジカル消去活性が高く、リノール酸自動酸化を抑制することが分かった。in vitro代謝試験において、tetrabromoveratroleはラット肝ミクロゾームで容易に脱メチル化反応が起こるが、カテコールへは変換されにくいことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本近海の座礁クジラや魚介類からの天然由来臭素化合物、ヒト由来試料の血清、母乳中の残留性臭素化合物の実態についてすでにデータを一部投稿中である。メトキシ-PBDEの脱メチル化反応についてヒトミクロゾームを用いた代謝実験で代謝物の同定ならびに、その抗酸化活性についてデータを取得しており、投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト由来試料の分析とともに、化学合成したフェノール性臭素化合物について、抗菌活性、抗酸化活性および内分泌かく乱活性として甲状腺ホルモン活性を測定し代謝活性化による影響評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度、フェノール性臭素化合物6-OH-BDE47およびメチル化体6-MeO-BDE47の化学合成が不足したため、これを合成し、抗菌活性および内分泌かく乱性評価のスクリーニングを行う。
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