研究課題/領域番号 |
24310052
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
鈴木 昇 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40134259)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人工光合成 / マイクロカプセル / ポルフィリン / 酵素 |
研究概要 |
4つの酵素(ジアホラーゼ(DAH)、ギ酸脱水素酵素(FDH)、アルデヒド脱水素酵素(AldDH)、アルコール脱水素酵素(ADH))とZnTPP光触媒をカプセルに導入した人工光合成カプセルを創成するために、「光照射下でCO2からギ酸を生成する反応(ZnTPP-DAH-FDH系)」と「NADHを出発原料としてCO2からメタノールを合成する反応(FDH-AldDH-ADH系)」の2つの反応系に対して検討を進めた。FDH-AldDH-ADH系を内包したカプセルの構築では、アルギン酸/アミノシランを壁膜とする有機無機ハイブリッドカプセルへの酵素の固定化条件を検討し、3種類の酵素の何れも活性を維持したまま本カプセルに内包できることを確認した。さらに、FDH-AldDH-ADH系を内包したカプセルを用いてNADHを出発物質としてCO2からメタノールを合成する反応系を構築するために、GC-FIDでのメタノール測定条件の検討を行った。 ZnTPP-DAH-FDH系では、ZnTPP光触媒と2種類の酵素(DAH、FDH)を固定化したカプセルを用いて、光照射下でギ酸が微量生成することをHPLCで確認した。ギ酸生成量が微量の理由としてカプセル壁膜による基質の拡散抵抗が大きいと考え、さらに検討を進めている。尚、前年度に見出したZnTPPを膜に導入した本カプセルがNAD+を直接還元できるという平成24年度の検討で見出した新しい反応ルートでは、酵素に不活性なNAD二量体ができているという結果となったため、この反応系の利用は断念した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メタノール合成において,その生成量が微量であり分析方法に苦慮したが,最終的に測定することを可能にすることができた。また,メタノール生成量が微量であることを克服するための検討を行ったが,現時点で大量合成の方法を確立できていない。その原因を,酵素固定化のためにマイクロカプセル壁膜の孔径を小さくすることによって,逆にマイクロカプセル壁における物質拡散が低下したためと考え,それの検証を行った。
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今後の研究の推進方策 |
メタノール合成速度および効率を高めるための方策を検討する。その一つとして,反応物質となるギ酸生成量を増加させるための最適条件を探索する。また,メタノール合成法のための条件を詳細に検討し,最終的にCO2からのメタノール合成を可能とするシステムを構築していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
納入価格の高い酵素類の購入量を抑えることができ、次年度の酵素購入に利用する。 プロセス化を検討するためには酵素量を増やす必要があり、その購入に利用する。
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