研究課題/領域番号 |
24310056
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩 金沢大学, 物質化学系, 教授 (90253335)
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研究分担者 |
水谷 聡 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80283654)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 土壌汚染 / 有害金属 / キレート抽出 / 生分解性キレート剤 / 固相抽出 / 超分子型固相抽出材 / 土壌洗浄 / 環境修復技術 |
研究概要 |
平成25年度は、重金属汚染土壌の標準試料と実試料を用いて、実験室レベルの洗浄・減量化試験を行った。標準土壌を用いた試験では、EDTA及び複数の生分解性キレート剤を含むキレート洗浄剤の土壌含有有害金属に対する除去率を検討した結果、土壌中Pb、Cd、Niに対してDL-2-(2-carboxymethyl)nitrilotriacetic acid (GLDA)の除去率が比較的高いことが分かった。各キレート剤による金属イオンの除去率は、前年度にモデル汚染土壌に対して得られた結果と良く一致した。次に実試料として、国内で採取したPb汚染土壌(全含有量:5700mg/kg、含有量:4080mg/kg)に対して,EDTAおよびEDDSによる洗浄除去実験を行った。キレート洗浄液のpHを4から10の範囲で抽出した結果,EDTAではpH 4,EDDSではpH10で抽出率は最大になった。抽出率は,それぞれ含有量に対して,EDTAでは85%,EDDSでは70%であった。洗浄液中のキレート濃度と鉛抽出率を比較したところ,キレート濃度が高いほどPb抽出率が高くなったが,EDTAでは0.005M,EDDSでは0.0025M以上で抽出率は一定であった。また、その他の金属汚染固形廃棄物として、鋳物廃砂、鉄鋼スラグ、ガラス廃棄物に対してもキレート洗浄を適用し、有害金属や有用金属の除去に有効であることを実証した。 更に洗浄後に残留する生分解性キレート剤の環境毒性を評価するために、イネ等に対する環境影響評価試験を実施した。また、キレート洗浄液中における有害金属回収に関しては、固相抽出に大環状物質を多層的に修飾した超分子型固相抽出材を用いることにより、大過剰のEDTA共存下においてもAs、Pb、Cd、In等を定量的に回収できる分離法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の想定よりも研究の進度が順調に進み、生分解性キレート剤を用いた土壌洗浄効果やその理論的解明、超分子型固相抽出材による各種金属イオンの分離回収法の確立等で研究計画以上の成果を上げることができ、2013年度の実績として国際学術誌や専門書に16報の論文・著書を報告できたため。
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今後の研究の推進方策 |
現段階で十分な達成度が得られていることから、今後の推進方策においても現在の方針を引き継ぐ。本研究の実施には、産学の連携が有効であったが、更に発展させるために、土壌汚染が深刻な国外の共同研究者との連携を深め、国際的な共同研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
汚染土壌に対する処理過程のスケールアップ実験について、汚染土壌の手配が遅れて次年度に継続する実験課題が生じたため一部を次年度使用額とした。また、海外に発注した一部の高額薬品の納期が大幅に遅れたため、返納金が発生した。 3.汚染土壌に対する処理過程のスケールアップ(水谷、長谷川) ・実験室内で実試料を用いた連続処理実験をスケールアップした条件で実施する。 ・浄化プロセスの最適条件を探索するとともに、大規模化に必要な技術的課題を抽出する。
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