研究課題/領域番号 |
24310058
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
重石 光弘 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50253761)
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研究分担者 |
浪平 隆男 熊本大学, バイオエレクトリクス研究センター, 准教授 (40315289)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境負荷低減技術 / 放射性廃棄物 / 水中パルス放電法 / 放射性コンクリート / 除染 / 減容化 / パルスパワー技術 / 再生骨材 |
研究概要 |
例えば原子力施設の廃止措置、あるいは更新に伴って排出される放射性コンクリート廃棄物の縮減を行い、経済負担、および環境軽負荷に資するため、研究代表者らによって開発研究を進めてきた「水中におけるコンクリート内パルス放電によるコンクリートの素材別分離回収技術」を応用して、コンクリートの放射化、あるいは汚染された部位を選択的に摘出して、放射性廃棄物処分量を圧縮する一方、クリアランスレベル以下のものについては跡地の継続利用、あるいは施設更新に必要な建設に再利用するための技術を確立する。 本研究ではその目的達成のため、疑似放射性コンクリート供試体を水中コンクリート内パルス放電による素材別分離回収実験に供し、回収物の放射能測定を行って、本技術のコンクリート除染に対する適用の妥当性を検証した。本年度においては、研究代表者らで開発した「水中コンクリート内パルス放電」による放射化コンクリート、および汚染コンクリートの素材(放射能レベル)毎分離回収のためとして、パルス放電装置を作成して「水中コンクリート内パルス放電」によるコンクリート破砕、および厳密な素材毎の分離回収を行った。 直径100mm、高さ100mmの円柱供試体を真空デシケータ内にて、1000ppmの塩化セシウム水溶液に浸漬した擬似放射性汚染コンクリート供試体を使用した。ただし,今回使用したセシウムは、セシウム同位体の中で唯一の安定同位体であるセシウム133であり、ほかのセシウム134や137とは違い放射能を出さないものである。破砕後は、再生粗骨材、残渣、処理水、そして、処理水中に拡散した微粉の4つを回収した。それぞれの試料に対して蛍光X線分析を行い、再生粗骨材にはセシウム元素に対応したピークが認められず、汚染されたコンクリートを素材別に分離することにより、コンクリートの60%程度の粗骨材を放射能を限りなく低めて回収できることから、減容化が実現できることが確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疑似放射性汚染コンクリート供試体を作製して、素材別分離を行った結果より、汚染源となるセシウム元素を除去しつつ粗骨材を分離できることが実証された。これにより次年度以降のより詳細な分析による除染効果を実施することの妥当性が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
学内のRI施設の放射性物質受入可能量に限度があり、実際の放射性コンクリート廃棄物サンプルの搬入が不可能と考えられる。このため、学内に置いては安定同位体を用いた疑似汚染コンクリート供試体を用いた実験を繰り返す一方で、学外の放射性物質取扱施設の利用や共同研究のための企画調査を加えて、実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
技術支援を請うものとして、一名の雇用を予定していたところであるが、適当な人材を確保できなかった。次年度においては確実に技術支援者一名を雇用する。また、旅費の一部を外国旅費に充てていたところ、優先すべき学内業務等の都合により、渡航時期を失したため、次年度に置いては適切に国外研究事情の調査を実施する。
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