研究概要 |
放射性セシウムCsの簡便で確実な処理法の早期開発が切望されている。既存法では,洗浄排水の処分,廃棄物量,あるいは環境中での吸着剤の長期安定性等課題がある。我々は既に,固相であるにも拘らず放射性Csを濃縮可能な新スマート環境浄化材料の開発の可能性を見出した。そこで本研究では,目的に応じた新規複合ナノ材料(=スマート環境浄化材料,Fe/Ca/CaOナノ粉体等)の調製法を確立し,それらの物性把握と効果を検証し,その発現機構の明確化を目的とする。本法は濃縮物の分離や固化も可能であり,常温処理にて減容化できることを特徴とし,"ポリイオン法"に代わる土壌中放射性物質の革新的かつ万能型処理技術となる可能性を秘めている。 初年度は,土壌のサンプリング(実汚染土壌として2か所からサンプリング,モデル土壌で3種準備)を行い,成分の定性・定量分析については適切な前処理を行い,JIS法に準拠して求めた。次いで,Ca/各種担体/Fe系分散体の調製法の確立と得られた複合材料の物性評価を行った。著しい効果の認められた材料については,その調製方法並びに配合比率などに関して特許申請準備中であるため,詳細な公開を控えた。各種土壌からの高濃度セシウム含有土壌/浄化土壌の分離比率は,回収された汚染土壌量については30wt%~50wt%程度であるが,その中に全セシウム量の70%~90%を迅速に濃縮分離可能であることを明らかにした。また,濃縮物からのCs再溶出も全く発生しないことを確認した。
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