研究課題/領域番号 |
24310059
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
三苫 好治 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (20301674)
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研究分担者 |
奥田 哲士 広島大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60343290)
河地 貴利 和歌山工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30290779)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | セシウム / 除染 / ナノカルシウム / 不溶化 / 放射性物質 |
研究概要 |
土壌に吸着した放射性セシウム(Cs)の簡便で確実な処理方法の早期開発が望まれている。重金属処理技術を転用した処理法では,廃水の処理,吸着剤等の廃棄処分,さらには放射性Csを含む吸着剤の長期安定性等に課題がある。我々は既に,固相に吸着した放射性Csを全く廃水を出すことなく濃縮可能な新スマート環境浄化材料の実用化の可能性を見出した。そこで本研究では,処理状況に応じた新規複合ナノ材料(=スマート環境浄化材料,Fe/Ca/CaOナノ分散体等)の調製法を確立し,それらの物性把握と除染効果を検証し,除染の機構を明らかにすることを目的とする。 初年度は,土壌サンプリング,土壌成分の定性・定量分析をJIS法に準拠して行い,さらにナノ分散体の調製法の最適化とその物性把握に努めた。 今年度は,引き続きナノ分散体の調製と物性評価を継続した。特に,材料の低コスト化に注力し,大手鉄鋼メーカー2社から入手した鉄粉製品(各1種類)を用いて,ナノ分散体とした薬剤の除染効率を検討した。例えば,S社提供による炉前スラグを用いたナノ分散体では,土壌含水率を5~10 wt%としたモデル汚染土壌を高速撹拌ミルにより撹拌処理を行うと,約10分の処理によって土壌中のセシウム濃度を4~6倍程度濃縮することに成功した。また,精錬時に生じる微粉鉄粉を原料とするK社のナノ分散体では,ラボ試験の結果から何ら前処理なく装置内で汚染土壌と直接撹拌混合することにより,約5倍程度の濃縮効果が得られることが明らかとなった。また,用いる鉄粉濃度が,分離された土壌粒径に与える影響についても検討し,100 μm以下,あるいは,20 μm以下など,選択的に土壌粒径の切り分けが可能であることも明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進んでおり,本研究成果を化学工業社の特集号にテーマ「ナノカルシウム鉄による放射性セシウム汚染土壌の乾式除染技術」として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はモデル試験機を使い,100 kgサイズの試験を行う。
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