研究課題
大阪大学産業科学研究所のLバンド電子ライナックを用いたTHz自由電子レーザー(FEL)の高度化とその性能評価の研究で最終年度である平成27年度に以下の成果を得た。①LバンドライナックのFEL用運転モードの最適化を図ることにより波長70 um、周波数4.3 THz付近でFELマクロパルスの最大エネルギーを従来の3倍近い27 mJまで高めることができた。従来の理論ではFELでこの様な大強度のTHz波を発生することは期待できないが、一部の理論で検討されていたFELの超放射によると考えられる。その結果、後述するFELミクロパルスの時間幅にも依存するが、強く集束したTHz波が作る電場は10 MV/cmを超えると見積もられる。この高電場とTH波の低い周波数により物質中の電子を100 eVを超えるエネルギーまで加速することが出来る。②FELのマクロパルスを構成するパルス幅20 ps程度と考えられているミクロパルスの時間構造をフェムト秒チタンサファイアレーザーを用いた電気光学サンプリング法により測定する研究を行ない、FELミクロパルスが更に短い時間幅を持つ複数のTHzパルスからなること、この時間構造がFELの光共振器長と伴に大きく変化することを見出した。③このFELが発生する大強度単色テラヘルツ波の利用研究を幾つかのTHz研究グループと共同で開始した。その一つは、軸外し放物面鏡を用いて集束したTHz波を有機分子結晶に照射し、分子間結合を強く振動励起することにより単一分子やイオンを外部に取り出す研究である。もう一つは同様の大強度THz波を有機分子の非晶質固体に照射して、熱ではなく電場により結晶化する研究である。これらの研究は期待した成果が出始めており、従来のフェムト秒レーザー励起THz波源の強度では不可能であった研究が、本研究により実現した大強度高安定THz-FELにより可能になりつつある。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of 37th International Free Electron Laser Conference (FEL2015), (Daejeon, Korea, 23-28 August 2015)
巻: 2015 ページ: 354-358
巻: 2015 ページ: 430-432
Terahertz Physics, Devices, and Systems IX: Advanced Applications in Industry and Defense, edited by Mehdi F. Anwar, Thomas W. Crowe, Tariq Manzur, Proc. of SPIE
巻: 9483 ページ: 1-9
http://dx.doi.org/10.1117/12.2175478