研究課題/領域番号 |
24310073
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
舟山 知夫 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (40354956)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 量子ビーム医療応用 / 重イオンビーム / マイクロビーム / バイスタンダー効果 / 低線量放射線影響 |
研究概要 |
マイクロシーベルトオーダーの極低線量放射線被曝の生物影響では、放射線のエネルギー付与の不均一性が原因となり、放射線誘発バイスタンダー効果の細胞影響への寄与が増大すると考えられる。そこで、本研究では、重イオンマイクロビーム照射技術と、細胞を生かしたままでその細胞内分子動態を解析できるライブイメージング技術を融合した、バイスタンダー効果解析のためのイメージングシステムを構築し、照射5秒後から、バイスタンダー応答が顕在化する数日後まで、1つ1つの細胞を長期継続して観察するシステムを開発することで、バイスタンダー効果の時間的・空間的動態を解明することを研究の目的とする。 平成25年度は、導入したライブイメージング用高感度カメラを制御するソフトウェアの開発を進めると共に、補助的に用いる既存の顕微鏡用カメラ、および画像キャプチャユニットを制御するソフトウェアを、本研究で開発した高感度カメラ制御ソフトウェアと互換性を持つように改造することで、複数のカメラを有機的に組み合わせて観察を可能するイメージングシステム構築の基盤を確立した。また、これまでの進捗状況も含めた原子力機構のマイクロビーム細胞照射技術についての講演を国際会議で実施した。今後は、このソフトウェア基盤を元に、ライブイメージングソフトウェアを完成させると共に、マイクロビーム照射を行った細胞試料のイメージング条件の検討を進め、バイスタンダー効果が誘導された細胞集団における分子応答メカニズムの網羅的な解析を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、導入したライブイメージング用高感度カメラを制御するソフトウェアの開発に加え、補助的に用いる既存の顕微鏡用カメラ、および画像キャプチャユニットを制御するソフトウェアの改良も行ったため、計画の進捗は当初計画より若干の遅延を見た。しかし、この既存カメラ用ソフトウェアの改良により、当初計画よりもより高機能なライブイメージングソフトウェアの開発が期待できるようになった。なお、この遅延による計画の完遂に大きな問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施した、ライブイメージング用高感度カメラのソフトウェア開発及び、既存の顕微鏡用カメラ、および画像キャプチャユニットを制御するソフトウェアの改良により、当初計画よりもより高機能なライブイメージングソフトウェアの開発が期待できるようになった一方で、バイスタンダー細胞集団応答解析に用いる細胞培養条件の検討において計画に若干の遅延が生じた。この遅延については、当初計画で予定していた複数の分子マーカーについてのライブイメージングを並行して検討していくことで遅延を取り戻すことが可能になると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、ライブイメージング用システムを当初計画よりも高機能化するためのソフトウェア開発に重点を置いたため、予定していた照射細胞試料調製条件の検討実験に使用を予定していた器具・試薬類の購入予算に余剰が生じた。 当該予算は、平成26年度予算と合わせて、照射細胞試料調製条件検討およびバイスタンダー効果解析の実験に使用する器具・試薬類に充当することを予定している。
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