研究課題/領域番号 |
24310075
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴谷 賢太郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究主幹 (50354684)
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研究分担者 |
小原 真司 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (90360833)
水野 章敏 学習院大学, 理学部, 助教 (10348500)
渡邉 匡人 学習院大学, 理学部, 教授 (40337902)
川北 至信 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究副主幹 (50264015)
大友 季哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (90270397)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 無容器法 / 中性子散乱 / アモルファス材料 / 構造物性 |
研究概要 |
本研究の目的は、J-PARCのNOVAに搭載するレビテーション装置を開発し、その世界最高レベルの性能を利用して機能性アモルファス材料(アモルファス酸化物、金属ガラス)・高温融体の構造解析を行い、アモルファス形成過程の直接観察を行うことで「アモルファスがアモルファスである理由」(なぜそのような構造をとり、結晶にはならないのか)の解明を行うことである。 初年度である平成24年度は、無容器実験環境(試料をガスで浮上させ炭酸ガスレーザーで融解するレビテーション装置)の開発とその性能評価を行った。具体的には、パルス中性子全散乱装置NOVAに搭載するレビテーション装置について以下のブレークスルーを達成し、それに基づいた開発設計と製作を行った。 1)大きいサイズの試料(5mm)を浮上させるノズルの開発設計と製作 2)放射温度計、観察カメラ等の電子機器の放射線損傷を防ぐ遮蔽の開発設計と製作 3)測定データのS/Nを確保し、余計な中性子バックグラウンドを防ぐ遮蔽の開発設計と製作 また、本レビテーション装置をJ.PARCNOVAに搭載し、バリウムリン酸塩ガラス(BaP_2O_6)を用いて、模擬溶融・浮上状態で中性子散乱実験による性能評価を行い、J-PARCと無容器法の組合せによって超高温融体の短時間測定(時分割測定)が十分できることを確認した。これまで、中性子を利用する無容器環境は国内にはなく、海外の2施設(ILL, ORNL-SNS)においても時分割測定は困難と予想されるので、J-PARCにおいて本無容器実験環境が整備されたことは非常に意義がある。平成25年度は、性能評価の継続と超高温融体の過冷却液体状態の観察を推進する。 本計画は国内のアモルファス材料の合成および構造解析の研究者の注目を集めており、研究分担者の大友が日本セラミックス協会において、J-PARC NOVAと本計画の現状報告(招待講演)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、J-PARC中性子全散乱装置NOVAに搭載するための無容器実験環境(試料をガスで浮上させ炭酸ガスレーザーで融解するレビテーション装置)を開発・整備することを目的としており、機器的な整備は達成され模擬試料の中性子測定にも成功したが、中性子実験においてSINの良いデータを取得するための遮蔽条件を特定することができなかったため、機器の性能評価が次年度に継続となっており、やや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
無容器実験環境はほぼ整備されたので、平成25年度以降は無容器装置の性能評価とJ-PARC高強度中性子を用いたアモルファス材料のアモルファス化過程の観察、また中性子ビームの停止期間中は無容器法を用いて新規アモルファス材料の開発を推進する。研究計画の変更はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
無容器装置チャンバーの製造コストが若干安価であったため1,500円の次年度へ繰越の補助金が生じた。次年度は消耗品購入の一部として使用する。
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