高エネルギー加速器研究機構の低温工学センターにある超伝導ソレノイド磁石を利用する本研究通算で第4回目の実験を、2015年9-10月に行った。 その際、第3回実験で問題となったインピーダンス調整器のフェライトトランスを強化し、ICR加熱用アンプ2台の並列運転を安定化した。 そして、スパッター電極の形を変えて、プラズマ生成用マイクロ波の侵入を妨げてきた部分を取り除いた。 更に、マイクロ波導波管のサーキュレーターとダミーロード部の空冷を強化して、マイクロ波流入及びプラズマ発生の安定化にも努めた。 その結果、時間当たりの収量を前回実験に比べて2桁以上増し、1mg/hourの収量を達成できた。一方で、濃縮度の分析には失敗した。その原因としては、実験終了間際に、スパッター電極のバイアス電源の発火事故があり、その収拾に追われたために分析が遅れ、その間に収集用の板に付着した亜鉛元素が散り落ちてしまった。収集用の板として、亜鉛に対して陽子数が1だけ少ない銅を使ったために、圧倒的に量が多い銅に水素が結合した粒子によるバックグランドをかぶってしまったなどが考えられる。得られた収量や濃縮度の結果は2016年3月の物理学会に報告した。
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