研究分担者 |
外山 毅 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (30207641)
堀 洋一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (80183937)
吉村 浩司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (50272464)
武藤 豪 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (90249904)
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研究概要 |
ビームハローを含むビームテールの非破壊の検出に置いては大強度陽子ビームが生成する電磁場により,窒素分子ジェットで生成される電離イオンペアの収集軌道がずれる問題の検討を行った.この評価のために陽子ビームとそのフィールド,収集粒子の運動を含めたシミュレーションをタイムドメインの解析コードで行った.また,収集軌道のコンファインメントのための外部電場及び磁場を最適化した.電離電子を収集に用いる方が位置精度が高いことがわかり,電場と磁場がそれぞれ±400kV/m,0.05Tの条件では,0.3mm以下の誤差で計測できることがわかった.また,光信号の検出方式における問題点の検討を行った.ガラスやファイバーなどの光学素子におけるバックグラウンドが検出効率の限界を決める.その最も大きな影響は,加速器周辺に発生するガンマ線や荷電粒子類が光学素子内で物質の電離及び励起を起こすことである.特にチェレンコフ光の影響を十分に具体化して検討する必要があると判断した.まず設置位置を決定する必要があり,本ビームモニターの成果試験を行うJ-PARCメインリングにおいて,加速器運転中の放射線被爆量をルクセルバッジを用いて評価した.その結果,3mGy/wks程度の被爆量である有望な候補点が見つかった.さらに,ビーム通過時間の光検出におけるチェレンコフ光などの影響の詳細評価のための実験装置を設計した.可搬型の真空容器にマイクロチャンネルプレートと蛍光スクリーンを入れ電圧印加し,このスクリーンの信号は実際の装置の信号と同じくファイバーで転送し光電子増倍管で測定するものである.これにより大強度陽子ビームの生成する加速器周辺の2次粒子がMCP,スクリーンに与える影響,そしてファイバー中でのチェレンコフ信号を高感度で検出する具体的な測定方法を決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検出方法の基本検討はなされているが,装置の最終設計まで至っていない.その理由は2つあり,一つは,本ビームモニターをインストールしその評価試験を行う加速器であるJ-PARCメインリング(MR)における光検出のバックグラウンドが十分に評価できなかったことがある.もう一つはインストール可能な候補点の見込みは立ったが最終決定できていないことがある.MRの診断装置の一角を担うことになるために,その目的とそれに合わせた配置の詳細検討が必要であり,装置の詳細設計にいたらなかった.これらの検討及び装置の最終決定は次年次に持ち越して行う.
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