研究課題/領域番号 |
24310079
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
橋本 義徳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 技師 (10391749)
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研究分担者 |
外山 毅 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (30207641)
堀 洋一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (80183937)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大強度ビーム / プロファイル / ビームモニター / 非破壊 / ビームハロー |
研究実績の概要 |
J-PARC メインリング(MR)における本装置によるビーム測定実験の具体的な検討を行った.特に,(1) 本装置によるビーム計測実験のための設置位置の最終決定,(2) 測定データのバックグラウンドの予測と評価,及び (3) 測定装置のための必要な設備に関してがその主要な項目であった. (1)本装置を設置する位置は,ビームエネルギーの分散が無く,かつ計測のバックグラウンドとなるビームロスにより発生する2次粒子の影響の少ない箇所を選ぶ必要があった.設置予定位置を直線部Aの最上流とすることが決定した. (2)この設置予定位置で,光刺激ルミネッセンス素子を用いてのMRでの出力ビームパワーが320kWのビームの連続運転中のバックグラウンドを評価した.ビームパイプ近傍では,収線量は最大500 mGy/week 程度であり,床面では,厚さ50mm の鉛のシールドの内部では,100 mGy/week 程度であった.これらのデータから,極めて低レベルのバックグラウンドでの測定が可能となることが予測できた. (3)本装置における真空機器お及び計測機器の主要回路は,装置に30 m 程度で近接して設置する必要がある.これらの,機器のためのシールドチェンバーを製作した.このシールドチェンバーは厚み50 mmの鉛ブロックと,厚み50 mmのポリエチレンブロックで周囲を囲む0.3 m3 の容積をもつ.この内部では,数10 mGy/week よりも低いレベルの収線量であり,耐放射線仕様ではない機器でも,長時間の使用が可能となった.装置の心臓部である測定用チェンバーの設計は,現在,最終設計を行っている.また,放射線によるダメージを回避するためにアルミ製の球面ミラーを試作した.λ/10 程度の高い波面精度で,直径300mm の凹面鏡を2枚,直径200 mm の凸面鏡を1枚,計3枚で構成する収束光学系が完成し,現在光学的特性の評価を行っているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験のための装置設置位置の決定が遅れたために,実験装置の具体的設計が遅れている. リング加速器を周回する大強度ビームを用いて実験を行うための設備は,J-PARC のメインリングのみである.このリングでの装置を入れるスペースは極めて限られている.その空いているスペースの内訳では,将来のさらなる大強度化に向けた別の各種装置のための候補地となっている場所が多いために,本装置のためのスペースの決定のためのそれらの将来の装置の間での調整が必要であった.その調整に多くの労力と時間が必要であった.今年度になってようやく最終決定され,本装置の設置場所が確保された. 次の問題として,装置は限られたスペースに収める必要があり,また該当場所でのビーム条件により装置の構成要素に必要な電場と磁場,そしてサイズなどに変更が必要であった.それらは,装置の構成要素の形状の変更を必要とした. また,来年度以降の実験のための,前置機器の設置のための小型シールドルームの設計と製作や,装置のための電力の供給ライン,そして信号のためのケーブル敷設のためのラックなどの経路の確保などに,多くの労力を取られた. ただし,装置固有の大きな問題などは生じていないため,現在,鋭意,本装置を用いた実験にむけて準備が進められている.
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今後の研究の推進方策 |
遅延はあるものの,H27 年度内に本装置を用いたビーム実験を開始させ,年度末には最初のビーム検出の結果を報告する.
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度に,J-PARCメインリングで使用する装置チェンバーを製作する予定であったが,導入箇所の前後に別途設置される加速器要素(機器)との寸法の取り合いの調整に時間を要したため,年度末までの装置チェンバーの製作は困難と判断された.このため,計画を変更し,今年度は装置チェンバーの設計までとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
このため,H27年度に装置チェンバーの製作を行うことにし,未使用額はその経費に充てることにしたい.
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