研究課題/領域番号 |
24310080
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
木野村 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 上級主任研究員 (90225011)
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研究分担者 |
大島 永康 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (00391889)
OROURKE Brian 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60586551)
鈴木 良一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 首席研究員 (80357300)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 陽電子 / イオン照射 / 照射損傷 / その場分析 |
研究概要 |
平成24年度は、陽電子ビーム制御技術として、ビームラインの陽電子発生部と試料チャンバの間に挿入する陽電子蓄積用ストレージセクションを開発した。通常の陽電子発生条件で装置を運転し、陽電子の蓄積をしない場合、試料上での陽電子パルス幅は約20μsであるが、数10μsオーダーの短時間の蓄積を行なった結果、パルス幅が40μsに拡がり、陽電子蓄積用ストレージセクションが陽電子パルス幅制御にも使えることを示した。また、平成25年度に設置予定のインダクションバンチャーによる陽電子パルス制御装置の設計を行った。陽電子の速度変調のシミュレーションを元にして、必要な装置の高周波特性を導き出し、その計算結果を元にして、インダクションバンチャー本体を含めた要素部品の開発と動作試験を行い次年度の実験のための準備を行なった。 また照射誘起欠陥計測技術として、高速波形デジタイザーとパーソナルコンピュータを中心としたパルスイオンビームとパルス陽電子ビームを同期照射するための制御システムを開発した。この制御システムを用いて、1ms程度のパルス幅のイオンビームの繰り返し照射に同期して、約20μsの短時間の間に集中して陽電子寿命測定を行うことが可能になった。試料温度を室温から550℃までの範囲に設定しながら、SiO_2(熱酸化シリコン基板もしくは溶融石英)、純金属材料(NiまたはFe)へのイオン・陽電子パルスビームの同時照射実験を行った。パルスイオンビーム照射を行うことにより、これまでに連続イオンビーム照射では変化が早すぎて観測できなかったイオン照射初期(低イオン照射量)における照射損傷の変化が観測できることを示した。さらに、照射タイミングを制御することにより、イオンビーム照射時と非照射時で陽電子寿命スペクトルに変化が生じることが純金属材料への照射実験で示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
陽電子ビーム制御技術と照射誘起欠陥計測技術のそれぞれの研究計画で予定していた研究開発項目をそれぞれ実施し、一定の結果を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発・設計を行なった陽電子蓄積用ストレージセクション、インダクションバンチャー、イオン・陽電子パルスビーム照射制御システムの性能を最大限引き出しつつ、照射損傷の過渡状態測定を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
インダクションバンチャーシステムの要素部品の開発を平成24年度に行ったが、次年度に装置を設置し実験を進める計画であり、そのために直接経費次年度使用額として繰り越した助成金を使用する。平成25年度はさらに試料表層に照射誘起欠陥を導入するためのイオンガンを購入し、新たな照射条件を含めた同時照射実験を行う。
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