研究課題/領域番号 |
24310085
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小林 芳男 茨城大学, 工学部, 教授 (40250849)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 造影剤 / ナノ粒子 / カプセル化 / シリカ / Au / ゾル-ゲル / 医療画像診断 / 表面修飾 |
研究概要 |
本研究の目的は、コロイド科学を基盤技術とし、無毒な造影用ナノカプセルの作製法の開発を行うことであり、対象としている造影能を有する試薬は、CdSe、Au、Agl、Gd化合物(GdC)等のナノ粒子である。今年度はおもにそれぞれのナノ粒子のシリカナノカプセル化の可能性について検討し、予備実験としてナノカプセルコロイド溶液の造影能の調査を行った。一例として、GdCナノ粒子について成果を述べる。GdC粒子はGd(NO_3)_3と尿素の混合水溶液を80℃で加熱する手順、すなわち均一沈殿法により調製した。この際、安定化剤としてethylenediaminetetraacetic acid(EDTA)を用いた。シリカカプセル化はEtOH溶媒に置換したGdC粒子コロイドにtetraethoxysilane(TEOS)とNaOH水溶液を順に添加し、24h反応させることにより行った(Gdc/siO_2ナノカプセル)。Gdc粒子のTEM観察によると、いずれもほぼ球状の粒子が観察された。EDTA濃度を0から3.0×10^<-4>Mに増加させることにより粒径は221.2から29.7mlの間で変化可能であった。EDTAを添加することにより、EDTA無添加の試料に比べ、粒径の顕著な縮小が見られた。これはEDTAとの錯形成によりGdイオンが安定化されたためと推察される。GdC/siO_2ナノカプセルのTEM観察によると、数個の粒子の癒着が見られたものの、Gd粒子の周囲にシリカシェル(シェル厚:24.1nm)が形成されている様子が認められた。また濃縮操作を行った後もコアシェル構造は維持された。Gd/siO_2ナノカプセルコロイド溶液のT1強調画像を撮影したところ、Gd^<3+>濃度の増加と共に画像のコントラストがより明瞭になる様子が確認できた。以上より、Gd/siO_2ナノカプセルコロイド溶液はMRI特性を発現することが示された。 しかしながら、造影効果は実用化を考えた場合十分とはいえない。今後の検討が待たれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を学術雑誌6報および学会発表5件という形で公表できたことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところ、本研究はおおむね順調に進展しているので、当初の計画通り研究を遂行する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は予備実験が順調に進行したため、研究補助や依頼分析等の費用が発生せず、学術研究助成基金助成金の使用予定額を下回った。そのため、直接経費次年度使用額が0とならなかった。次年度は、本試料の実用化に向けて試料作製や造影試験を多数回行うことになるので、おもに消耗品を大量に購入する予定である。
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