研究課題
平成26年度も昨年度に引き続き、コンパクトな実験室X線源によって数nmスケールの空間分解能の三次元硬X線高感度顕微鏡を将来的に実現するための基盤技術の確立を目指した。本研究で開発を進めている方法は、2009年に我々が提案した新しいタイプの硬X線位相差顕微鏡の着想をさらに発展させたもので、従来の方法にはない高感度の定量X線位相イメージングが実現できると期待される。X線光学の知識と、先端的なX線光源技術、微細加工技術、さらには情報処理技術を駆使して、さらには新たなコントラスト形成技術を融合することによって、まずは百nmよりも高い空間分解能で、高感度あるいは短時間露光の硬X線顕微鏡の実現を目指すものである。平成26年度は、微細加工技術を利用した光源の作製、本手法に用いる位相型回折格子の作製、新規解析プログラムの開発などを行った。光源の作製については、ダイヤモンドウェハ上にリフトオフなどの方法によりタングステンの微小パターンを作製することを試みた。X線発生時に、このパターンに微小径電子線を照射するわけであるが、電子線照射時にタングステンパターンが破壊されない方法について試行錯誤を行った。位相格子の作製については、メンブレン中に数μm厚のAuのパターンを埋め込んだフレキシブルX線位相格子の開発を行った。この格子は、Si基板上にめっき技術により作製したAu格子パターンを、エポキシ系樹脂に埋め込み、さらに基板側をエッチングにより除去することによって作製可能であり、エポキシ樹脂の厚さが50μm程度であることから、自由に変形することができる。さらに、本課題で開発している手法のための解析プログラムの開発を行った。このプログラムは、従来のX線顕微鏡用の波動光学シミュレータを発展させたもので、試料によるFresnel回折の効果を正確に取り入れられていることが、実験によっても示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Opt. Express
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