研究課題
本研究では、過去のものとなったテレビジョン撮像管技術を現代のナノ材料・ナノ計測技術で蘇らせ、表面近傍の光学像を分解能数10nm、無染色で実時間撮像する電子走査型超解像光学顕微技術へと発展させることを目指している。具体的には、光波長よりもはるかに薄い撮像面上に置かれた対象物を照明し、裏面から電子ビームで光波長よりもはるかに小さな空間分解能で走査することにより、近接場光強度分布を電子的に読み出す、これまでにない超解像光学顕微鏡を構築する。昨年度までに、本研究で構築した電子ビーム走査系、真空下試料交換機構、微小電流測定系、光ファイバ入出力系を利用したフライングスポットスキャナ方式による超解像光学顕微鏡システムを完成させ、また、内部に細胞を生きたまま密閉できる環境セルユニットを完成し、生きた細胞を無染色で回折限界を超える分解能で観察できることまで実証していた。当該年度は、蓄積型撮像管方式への移行に向けて、AgまたはAuナノ粒子の紫外光による光電子放出の結果、基板との間で形成される微小コンデンサに電荷蓄積が起こるか、さらに、それを電子ビーム走査、微小電流測定により検出可能かを明らかにすることを目標としていた。見通しの良い系で検証を進めるため、微細加工により制御されたAuナノ粒子アレイを極薄誘電体膜上に作製した。深紫外光による光電効果による電荷蓄積の代わりに、適切な加速電圧の電子ビームによる予備走査で電荷蓄積状態を作っておき、それを電子ビーム走査時の微小電流により読み出す方式を試みたが、現時点で有意なレベルの信号を得るに至っていない。実験は研究期間終了後も引き続き継続している。一方、数値計算による超解像画像取得の原理検証に関しては、予定していたソフトウェア環境を整備し、超解像画像の取得が可能との結果を得た。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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