過去のものとなったテレビジョン撮像管技術を現代のナノ材料・ナノ計測技術で蘇らせ、表面近傍の光学像を分解能62nm、無染色で撮像する電子走査型超解像光学顕微鏡を開発した。光電子放出に伴う蓄積帯電電荷を読み出すアイコノスコープ方式と、蛍光点を走査して試料を照明するフライングスポットスキャナ方式の構築を目指した。前者については研究期間内に完成形を示すことはできなかったが、後者は市販の走査電子顕微鏡に組み込めるユニットの開発まで成功した。生きた細胞の観察を可能とする環境セルを開発し、位相物体が無染色で撮像できる原理がパーセル効果に由来することを明らかにし、実際に生きたままのヒト肺細胞の観察に成功した。
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