研究課題/領域番号 |
24310099
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
工藤 寛之 明治大学, 理工学部, 准教授 (70329118)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | MEMS / バイオセンサ / 電気化学 / 生体材料 |
研究概要 |
本研究では、これまで行ってきた機能性高分子とMEMS技術を融合したバイオセンサ技術をさらに深化させることで、長時間にわたり無観血・無拘束にて生体の化学情報をモニタリングを行う技術を提案する。本年度においては、研究実施計画に従い、センサ周辺システム、センサデバイスの性能向上に加えて、涙液以外の生体液性成分への応用の可能性について基礎的な評価を検討した。 具体的には、生体の皮膚並びに粘膜表面より分泌される液性成分をモニタリングするためのデバイスとして、アルコール、乳酸、ヒスタミンを計測するセンサ群を開発した。それぞれを基質とする酸化酵素を電極上に固定化し、酸化反応に伴い生成される過酸化水素を計測することで計測することとした。過酸化水素の検出にあたっては、従来通り電極上で過酸化水素を酸化する方法に加え、プルシアンブルー並びにオスミウム-西洋わさびペルオキシダーゼをメディエータとして用いる方法について検討した。電極で過酸化水素を直接酸化する場合(0.6V vs Ag/AgCl)に比して、低い電位(0.1V vs Ag/AgCl)にて計測が可能で、かつ高感度化が期待できる。作製したバイオセンサをCH Instruments社製のポテンショスタットALS700に接続し、定電位電流計測を行うことでセンサの評価を行った。 いずれのセンサにおいても、基質に対する応答が確認されたが、特にオスミウム-西洋わさびペルオキシダーゼをメディエータとして用いた乳酸センサにおいては、10nM~と極めて高い検出感度が確認された。今後、唾液等の成分をモニタリングするためのセンサデバイスとして応用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成に向け、生体モニタリング用センサの作製および駆動については順調に進展している。 皮膚表面などへの貼付が可能なデバイスとして、ポリジメチルシロキサンを主材料としたデバイスの最適化が進んでいる。 対象とする成分もグルコース以外に乳酸、アルコールなどのほかコルチゾールやヒスタミンなどの計測についても着手しており、幅広い応用展開が期待できる。 また、センサデバイスとしては、当初の見通しより高い感度で生体成分のセンシングが可能となる可能性がある。このことにより、脳神経科学分野においても当該センサの応用が期待されている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で目的としている、非観血的な生体成分のモニタリングデバイスとしては、今後眼部以外に口腔内、鼻腔内の成分の計測へと展開するとともに、それに応じた高感度化を図っていく。また対象とする成分はグルコース以外に、乳酸、アルコール、アミラーゼ活性など多様な成分でもセンシングが可能か評価を進める。 平成26年度は最終年度となっており、生体由来サンプルの計測を中心とした応用研究についても可能性を明らかにする(生体由来試料の評価については学内倫理委員会の承認済み)。
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次年度の研究費の使用計画 |
受注生産品であるPt(白金)ペースト材料の購入に際し、完成品の品質が基準を満たさなかったため、再生産に時間を要した。平成26年4月に納入済み。その間において研究の実施は代替品にて遂行した。 白金材料の納品遅れに伴う小型炉等の関連支出にて、平成26年度使用額は5月上旬には支出済みとなる予定である。 またセンサの完成度向上に伴い、生化学関連試薬と電極材料にの購入に充てる。これらも5月末には納品済みとなっている予定である。
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