研究課題
平成27年度は、交流を用いた液体電極プラズマ(交流LEP)の発生とその特性評価、およびカラムによる前処理を同じチップ内に集積化したシステムを構築しその特性を、従来の直流を用いた液体電極プラズマ(直流LEP)と比較しながら評価した。主な実施項目は次の通り(1)交流を用いた液体電極プラズマの発生と特性評価分担研究者の沖野先生が開発した、交流電源を用いて交流LEPを発生させ、元素分析に最適な発生条件を調査した。その結果、流量30uL/minで最適な発光が得られることが分かった。直流LEPでは、1000uL/min程度が最適なため、約1/30の流量でよいことになる。また、この最適条件で、鉛、カドミウム、鉄などの水溶液の発光スペクトルと、検出限界を調べたところ、スペクトルは、プラズマ温度、検出限界ともに、直流と大差ないことが分かった。一方で、プラズマが流路に及ぼすダメージについては大幅な改善が得られた。従来の直流LEPでは、検出限界を追及すると流路へのダメージが大きくなり、石英製の流路が必須となり、また頻繁な流路の交換が必要となる。しかし交流LEPでは、樹脂の流路を使ってもほとんどダメージが観察されなかった。大雑把な見積もりでは交流では直流と比較して1/3000以下のダメージで同等の検出限界が得られることになる。(2)固相抽出カラムとの一体化交流液体電極プラズマを固相抽出カラムと一つのチップ上に集積化することで、前濃縮による検出限界向上を行った。直流LEPと比べ、少ない流量で良いことは、カラムとの組み合わせでは大きなメリットで、気泡を除くための複雑な流体制御をおこなわずにカラムとの一体化が実現できた。性能は直流LEPとの組み合わせとほぼ同等である。流体制御が要らないため、測定時間が大幅に短縮化された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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