研究課題/領域番号 |
24310116
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研究機関 | 公益財団法人豊田都市交通研究所 |
研究代表者 |
安藤 良輔 (宿 良) 公益財団法人豊田都市交通研究所, その他部局等, 主幹研究員 (70251121)
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研究分担者 |
加藤 秀樹 公益財団法人豊田都市交通研究所, その他部局等, 主任研究員 (90446386)
鈴木 勉 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (00282327)
近藤 美則 独立行政法人国立環境研究所, その他部局等, 主任研究員 (30205570)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エコドライブ / 二酸化炭素排出削減 / 環境政策 / 交通流シミュレーション / 速度マネジメント / スマートドライブ / プローブデータ / ゾーン30 |
研究概要 |
エコドライブを改め、スマートドライブは、高い即効性と費用対効果を持つ運輸部門のCO2排出量削減対策として期待されており、効果の検証、支援システムの開発・評価、普及啓発方法等の研究が広く実施されている。現状では、車両単体の燃費改善が進む一方で、先駆的なCO2削減目標を達成するためには、市民がスマートドライブを理解し、広く実践する必要がある。本研究では、市民の関心が高いと考えられる交通安全、電動車両(ハイブリッド車、電気自動車)等の視点から、スマートドライブの効果を定量的に示し、市民に説得力のあるスマートドライブを提案することを目的とした。 平成25年度では、豊田市において、(1) 時速30km制限による速度・CO2の変化に関する検討を行った結果、CO2排出量は約3%削減できる可能性が示唆された。(2) 電動車両のスマートドライブ効果に関する検討の結果、EV、HEVにおいても、ガソリン車と同等以上の効果があることが示された。(3) 日常走行における燃費改善要因の解析を行った。最も燃費改善効果の高いのは、無駄なアイドリングを止めたことを明らかにした。また、走行時の燃費改善効果が高いのは、早めのアクセルオフ実施によることを明らかにした。 また、つくば市においては、主要道路を含む地域を設定して,道路交通の再現に必要な交通量と交差点における信号オフセットの計測を行った。また,道路交通シミュレーションソフトウェアを用いて,当該地域の交通流の再現を行った。さらに,ソフトウェアの機能を用いたCO2排出量の複数の計測方法を比較し,方法間の差異を比較した。 さらに、数台のガソリン乗用車に対して、速度パターンからのCO2排出量推計を可能とするための燃料消費量マップを修正するとともに、スマートドライブ効果について電気自動車を対象とした調査と解析を行い、その効果を一充電走行距離の延長効果として評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究状況を踏まえて、平成25年度以降の研究計画を見直して、「エコドライブ」を「スマートドライブ」に改め、従来のガソリン車の運転技術のみに着目することから、車両の電動化、そして、電動化した車両によるスマートドライブの実施効果の解析を含むことへ研究対象を一部拡大したことによって、ハイブリッドカー、電気自動車そしてプラグインハイブリッドカーの普及が著しい我が国の実情にあったスマートドライブの実現に向けた研究計画に修正できた。また、車両の小型化によるスマートドライブの実現にも着目して、狭義なエコドライブから、広義的にスマートドライブの実現を目指した環境にやさしいそして道路交通安全に寄与できることという大きな目標にアプローチ方法の一部修正を行うことにより、実施手順をより明確にして、進捗を昨年度の「やや遅れ」ていた状況からスピードアップできたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、環境にやさしく安全な自動車運転の実現である。アプローチ方法として、速度を抑制したエコドライブの実現である。これまでの2カ年度の研究を踏まえて、一気に実現することを目指しつつ、速度を有効的に抑制する部分、使用する車両の変更による安全性・環境性能の改善の部分などにも直目して、総合的に、一体的に研究の目的を達成させることはより現実的である上、より効果的であると判断できた。そのため、今後は、当初計画していたプローブデータの解析による実道路での走行実態、現道観測できない事象を対象とする交通流シミュレーション、様々な車種を用いたシャシーダイナモ試験という「3つの矢」を用いて、一体的にスマートドライブ普及施策の定量的評価を実現していくと同時に、速度を抑制するためのISA(高度速度抑制技術)等のITSの活用、電気自動車・PHV(プラグインハイブリッドカー)・超小型自動車・PMV(パーソナルモビリティビークル)等車両側の新しい動向をも踏まえた総合的に解析・評価していく所存である。その結果、より早く社会に役に立つ成果を打ち出すことが期待できると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究のアウトプットを確認しながら進めていた結果、研究の範囲の拡大と変更が生じてきたため、研究方法・実施計画の変更も伴うものである。これらの変更によって、使用額が当初計画していた平成25年度から平成26年度にずれ込んできている。 3カ年度研究の最終年度になるが、研究目的を達成すべく鋭意推進していく所存である。そのため、変更・拡大した研究対象に使用可能額に集中して、必要に応じて行う解析機器の購入、最新情報入手、共同研究者同士の討論、研究成果の発表等をするための旅費、関連解析を行うための協力者への謝金・人件費等に活用して、国民に還元できる研究成果を打ち出していく。
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