研究課題/領域番号 |
24310117
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
五十嵐 一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90212737)
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研究分担者 |
本久 順一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60212263)
池辺 将之 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20374613)
渡邊 浩太 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20322828)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境発電 / 振動発電 / スマートセンサー / センサーネットワーク / 無線センサー / エネルギーハーベスティング |
研究概要 |
本研究では橋梁やトンネル,高圧送電鉄塔などのインフラストラクチャのための無線センサの実現を目的としている.このようなセンサはエネルギーの供給なしに自律的に動作することが望まれる.このため,本研究では構造物の振動により電力を発生する微小発電機を開発する.この発電機は電磁誘導の原理により,振動エネルギーを電気エネルギーに変換する.すなわち,永久磁石が振動させることにより,その近傍に設置されたコイル中を鎖交する磁束を時間的に変化させ,コイルに誘導起電力を発生させる.特にわれわれは,コイル中心軸に磁性体を配置することで,コイルと鎖交する磁束を増加させるとともに,コイルと磁石間に非線形な電磁力を発生させ,共振周波数以外でも有効な発電ができる装置の開発を行っている. H25年度の研究では,3次元プリンターを用いて振動発電機の試作を行い,非線形振動を実現するための条件について集中的に検討した.この研究成果は,イギリスで開催された国際会議にて発表した.また,開発した振動発電解析システムにより,条件を調節することでカオス振動が得られることが予想されたため,実験でもカオス振動を発生できるかを検討した.実験の結果,実際にカオス振動を発生させることができることがわかった.また,われわれの振動発電機では比較的容易にカオス振動を発生できる理由を理論的に説明した.カオス振動を起こすことができれば,これまでよりも広い周波数帯域で発電することができる.この研究成果は次年度に論文として投稿予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の結果,振動発電機の構造を工夫することにより,カオス振動を発生できることが明らかになった.このことは研究当初には予想されていなかった.カオス振動により,当初期待していた周波数帯域よりも広い帯域で発電が可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
試作した振動発電機が発生する電圧は,ダイオードの閾値電圧よりも低いため,このままでは,発生した電力を整流回路を通してコンデンサーに蓄電することができない.このため,より高い電圧を発生させるための構造を検討し,試作および実験を行う.また蓄電回路の設計と評価,RFIDと振動発電機の結合についても検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
ネットワークアナライザが当初計画よりも安価にて購入できたことと,できるだけ安価な航空券を用いて効率的に出張を行ったことよる. 本年度は作成する無線センサーの動作試験に必要な電波暗箱と,新しい振動発電機の製作に必要な3次元プリンターを購入する予定である.
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