研究課題/領域番号 |
24310118
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
桑名 一徳 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (30447429)
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研究分担者 |
野口 佳樹 龍谷大学, 理工学部, 講師 (10351347)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ガス爆発 / 予混合火炎 / 火炎伝播 / 不安定性 / フラクタル |
研究概要 |
ガス爆発事故の被害予測において重要である、伝播火炎のフラクタル次元の測定および理論予測を目的とし、次の三項目(1)一次元乱流火炎実験、(2)理論解析、(3)検証実験・数値シミュレーションを実施した。それぞれについて以下に概要を示す。 一次元乱流火炎実験では、平成24年度に構築した一次元乱流火炎発生装置を用いて火炎伝播挙動を詳細に観察した。つまり、内円筒と外円筒から成る二重円筒を用い、円筒間の狭い空間で火炎を形成した。円筒形を変化させて実験することにより火炎伝播速度のスケール依存性を求め、そこからフラクタル次元を求めた。平成25年度は、メタンおよびプロパンの異なる可燃性ガスを用いて実験し、フラクタル次元と物性値の関係を考察した。また、直径が約50cmの円筒を用いた実験装置を準備した。 理論解析では、火炎伝播挙動を記述する方程式を数値的に解き、火炎伝播速度のスケール依存性からフラクタル次元を求めることを試みた。フラクタル次元のパラメータ依存性を検討し、燃焼による気体の膨張比がフラクタル次元に大きな影響を及ぼすことを確認した。また、燃焼による気体の膨張を無視した仮想的な理論解析を実施し、気体の膨張が無いと火炎のフラクタル性が現れないことを明らかにした。さらに、一次元乱流火炎実験と同じ条件でフラクタル次元を求め、実験結果と予測結果がよく一致することを確認した。 また、理論解析の結果を検証するための実験および数値シミュレーションを行った。燃焼による気体の膨張を無視した仮想的な数値流体力学シミュレーションを実施し、理論解析の結果が妥当なものであることを確認した。さらに、固体燃料を用いることにより気体の膨張を無視できる実験も実施し、理論解析および数値流体力学シミュレーションの結果と比較できるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一次元乱流火炎実験、理論解析、検証実験・数値シミュレーションのそれぞれについておおむね計画通りに実施した。その結果、メタン・空気混合気およびプロパン・空気混合気のフラクタル次元を異なる濃度について測定し、また、理論解析によりフラクタル次元に大きな影響を与えるパラメータを特定できた。さらに、検証実験および数値流体力学シミュレーションにより、理論解析の結果が妥当なものであることを検証できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、実験的なフラクタル次元測定や理論的なフラクタル次元予測における精度向上を目指す。具体的には、一次元乱流火炎実験では円筒径の範囲を広げて実験し、フラクタル次元測定の精度を向上させる。理論解析においては、モデルパラメータと実際の可燃性ガスの物性値を精度良く関連付けることを目指す。そのために、幅広い条件で数値流体力学シミュレーションを実施し、理論解析の結果と比較することでモデルパラメータの物性値依存性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
一次元乱流火炎実験および理論解析の検証実験において、新たな実験装置の構築を行ったが、実際の燃焼実験は未実施であるため、試料やその他実験用消耗品が未購入であるため。 新たに構築した装置を用いて一次元乱流火炎実験および理論解析の検証実験を実施し、試料やその他実験用消耗品を購入する。
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