平成26年度は、平成25年度までに準備した実験装置、理論解析モデル、数値シミュレーションモデルを用いて一次元乱流火炎実験、理論解析、数値シミュレーションおよび検証実験を実施した。それぞれについての詳細を以下に述べる。 【一次元乱流火炎実験】本研究課題で開発した二重円筒装置を用いて、一次元火炎伝播の様子を詳細に観察した。これは、内円筒と外円筒から成る狭い空間内で火炎を形成するというものである。メタンおよびプロパンを可燃性ガスとして用い、濃度を変化させて実験することにより、様々な条件で火炎のフラクタル次元を求めることを試みた。乱流現象であるため、火炎伝播速度の平均値を正確に求めるために、各条件につき10回以上の実験を行った。 【理論解析】本研究課題で構築したモデルを用いて理論解析を行った。実験で対象としたガス(メタンおよびプロパン)およびその濃度に対して、モデルパラメータを決定するための検討を行い、可燃性混合気の物性値からモデルパラメータを決定する方法を確立した。理論解析により求めた火炎伝播速度およびフラクタル次元は、実験結果とほぼ一致することが確認された。実験結果および理論解析結果より、燃焼による体積膨張率が火炎のフラクタル次元に大きく影響していることを明らかにした。 【数値シミュレーション】一次元乱流火炎実験に対応する数値流体力学シミュレーションを行った。特に、体積膨張率の影響を数値シミュレーションにより確認した。体積膨張率を仮想的にゼロとしたシミュレーションでは、火炎がフラクタル構造を持たないという学術的にも興味深い結果が得られた。この結果からも、火炎のフラクタル性を決定する支配的な要因が体積膨張率であることが示唆される。 【検証実験】固体燃料を用いた実験を行い、体積膨張率がゼロの場合は火炎がフラクタル的でないという先述の結果を検証した。
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