本研究では,これまで「予測」を目標とする大気環境シミュレーションに関する研究を,「改善」に焦点を当てて,大気物理学・大気工学を融合して,「地球環境問題の解決に新しい科学的な手法」を得ることを最大の目的に設定した.また同時に,「風力エネルギーの有効利用,すなわち,風力発電の適切な普及」に資する「狭域スケールに的を絞った数値風況予測技術の開発」を検討した. 研究代表者は,九州大学応用力学研究所において,汎用的なWindows搭載のPC1台およびモバイルPC1台で動作可能な先端的数値風況(流体)シミュレーション技術(RIAM-COMPACT:リアムコンパクト)の開発をこれまで行ってきた.この数値流体モデルは,大気工学および風工学の分野において,国内のみならず世界的に高い評価と研究成果を挙げてきた. 本研究では,このRIAM-COMPACT数値流体モデルに対して,新たに地理情報システム(GIS)との相互連携技術を開発した.研究期間中に,東日本大震災で特区指定を受ける予定の地域を対象にし,大気環境シミュレーションを実施し,その結果を利用して都市計画における「大気汚染の原因究明と大気環境改善法」を提案した.また同時に,「風力発電の適切な普及に資する高解像度風力資源マップ」作成も検討した.
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