研究課題/領域番号 |
24310121
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
廣瀬 英雄 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60275401)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リスク予測 / 微分方程式 / SIR / マトリクス分解法 / PoP / 最適試験法 / 寿命推定法 / アンサンブル法 |
研究概要 |
感染症などのリスク解析として、24年度には打ち切りデータを用いた統計的予測法、SIR法や微分方程式などの構造を持った数学モデルによる予測法などについて、予測精度の比較検討を行なった。25年度は、想定を超えるような現象に対応するため、これまでに開拓した方法に加えて、他の方法を併用する方法論を展開した。具体的には、従来の時系列解析法(ARIMA、ANNなど)を比較対象とし、新しい予測手法の試みとして推薦システムの一つであるマトリクス分解法を加えた。また、それらを総合的に判断し予測する方法(アンサンブル法)を提案した。この方法をPoP(Prediction on Predictions)と呼ぶ。このPoPを用いた予測結果については、(招待講演を含む)国際会議等で複数回発表を行なった。 この研究は、感染症の研究を伸ばす意味合いから、厚生労働科学研究委託費(新興・再興感染症)への参画も果たす役割につながっている。 一方で、電気絶縁体の熱劣化のよる寿命推定法や最適試験法について、IEC規格提案を目標として新しい数学モデルを提案し試験法を提示した。この分野では寿命の確率分布を生成する微分方程式をはじめて提示し、それにアレニウスの法則を組み合わせることで、最適な寿命試験やそれとほぼ同等な準最適試験法を、モンテカルロシミュレーションを用いて導いた。 以上の内容についての発表は20件以上にのぼっている。また、確率統計の基礎的な理論の啓蒙の意味合いから、「実例で学ぶ確率・統計」を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
PoP(Prediction on Predictions)方法を新たに提案し、SARSの事例を用いて提案法の有用性を確認した。 また、電気絶縁体の熱劣化のよる寿命推定法や最適試験法について新しい数学モデルを提案し試験法を提示した。 成果は国際会議(招待講演)で発表できるレベルにまで到達した。 また、基礎的な部分に関する本を出版できた。更に、「数学セミナー」には解説記事掲載が決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
機械学習分野のマトリクス分解法を応用した、1)季節性の感染病の流行予測、2)降雨予測、などを引き続き展開する。 今後は、想定を超えるような現象に対応できるような予測法の精度を更に高めるため、PoP法にさまざまな予測法を追加することで予測の信頼性をあげることにつとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際会議出席回数が予定を下回ったことなどにより当該助成金に年度内残額が生じた。 前年度に引き続き、多くの国際会議出席を計画しているため、その費用に充てる計画である。
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