研究課題/領域番号 |
24310123
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
柄谷 友香 名城大学, 都市情報学部, 准教授 (80335223)
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研究分担者 |
近藤 民代 神戸大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50416400)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自然災害 / 減災 / 危機管理 / 生活再建 / 中核被災者 / エスノグラフィー / 東日本大震災 |
研究概要 |
東日本大震災級の巨大災害が発生すると、被災地の地元自治体職員が犠牲になるなど行政機能が著しく低下する。 このような状況では、行政=支援する側、住民=支援される側のような構図は成立せず、従来、公助が担ってきた部分を被災者自身(同士)が自助、共助で担わなければならない状況になる。 このような背景のもと、平成24年度の主要な成果は、現地参与観察およびヒアリング調査を通じて、被災しながらも地域の再建を支える「中核被災者」の存在を再確認し(岩手県陸前高田市における震災直後からの継続調査)、その役割と可能性を考察し、提起した点にある。具体的な調査内容および方法は、発災直後から地域住民主体で避難所運営を担ってきた陸前高田市のA自主防災会の活動を事例とし、中核被災者の主体性発揮が地域再建に果たす役割と可能性を示唆した。対象としたA町内会では、2008年の役員改選を契機に、災害時に機能する自主防災会をめざし、個人の資質を鑑み、看護師有資格者や女性達を中心に再構成した。発災後から、会長、副会長、事務局長の指揮命令系統の下、彼女らの各班での機転の利く活動が避難所運営を支えた。しかしながら、支援に回る住民自身も被災していることから、先の見えない対応は負担が大きく、住民主体を尊重しながらも、行政とのコミュニケーションや連携の必要性も課題として見えてきた。 また、避難所の閉鎖後しばらくして、津波により家屋を喪失し、仮設住宅から自力で住宅再建する他町内会の被災者をA町内会で受け入れ、既存住民らとの交流を図る機会を設けるなど、生活再建に向けての重要な役割も示唆した。被災者の生活再建や地域の復興はまさにこれからであり、今後の復興公営住宅や集団移転など住宅再建やそれに伴う地域コミュニティの再生などに着目し、長期にわたる地元中核被災者の役割や外部支援のあり方の検討など重要な課題についても提起した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災後からの現場に根付いた調査を通じて、避難所や仮設住宅住民との一定の信頼関係を築き、協力を得ながら、当該年度の目的に即して調査研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災から3年目に入り、復興事業の進展や個人の住宅再建などの動きがある。今後も被災地に根ざした調査研究を推進する。一方、被災地自治体職員のインタビューについては、業務が多忙な時期と重なっており、先方への負担を配慮して、平成26年度にかけて実施するものとした。
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次年度の研究費の使用計画 |
本学研究生により調査記録及びデータの整理の謝金を予定していたが、就活等の都合により予定通りの補助が得られなかった。次年度は研究補助者の確保を検討済みであり、効率的かつ効果的な予算執行を目指す。
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