本研究では、東日本大震災後の地域再建を担う「中核被災者」に着目し、避難所・仮設住宅・恒久住宅の再建に果たす役割と可能性を考究した。まず、陸前高田市での参与観察を通じて、自主防災組織主体の避難所運営の実態と可能性を提起した。また、行政による復興事業に依らない「自主住宅移転再建者」の復元力に着目し、意思決定過程とその立地に伴う市街地空間の影響を沿岸被災9市町において解明した。自主住宅移転再建者は、津波リスクと復興事業の長期化を避け、自らの情報収集と金銭資源で土地を取得し早期再建を果たした。一方、それに伴い被災市街地が高台に向けて拡大・低密度化する傾向も見られ、今後の復興計画への課題を呈した。
|