研究概要 |
従来の研究の津波電離圏擾乱検知では,津波のサイズを知ることは難しく、津波早期予測技術としては実用的ではなかった。これは、励起された音波・重力波の数分周期の波の振幅だけでは地磁気の影響も大きく作用し推測できないためである。さらに様々な経路を通ってきた複数の波動が重なっており波動の振幅からの津波規模の推定は困難である。研究代表者らは平成24年度に引き続き平成25年度、次の結果を得ることができた。まず、波動成分の分離を日本国内および隣国の地磁気データを用いて波動成分が生み出す誘導磁場に着目し、複数存在する波動の物理的理解に成功した。その成果では、1) かねてから存在を指摘されていた地震起源の沿磁力線電流の立証(日本の地磁気共役点になるオーストラリアにおいても変動の検出し、存在を確認), 2) 地表を伝搬するレイリー波起因の電離圏内弧状電流の発見, 3) 津波伝搬が海中に作る電流起因の磁場変動成分の抽出と、地震・津波起源の地球電磁気的変動の包括的理解に大きく前進した。これらの知見をもとに、電離圏変動の波動成分と津波電離圏ホール成分を分離し、GPS受信点が稠密にある日本のデータを用いて、津波電離圏ホール規模と初期津波高(複数の文献によるシミュレーションないしは観測による逆算値)の関係を得ることができた。その結果、概ね正の相関が得られ本研究の第一の目標を達成することができた。
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