研究課題/領域番号 |
24310132
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
林 豊 気象庁気象研究所, 地震火山研究部, 主任研究官 (40370332)
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研究分担者 |
干場 充之 気象庁気象研究所, 地震火山研究部, 室長 (60510196)
今井 健太郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (20554497)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 津波 / コーダ波 / 水位観測 / 津波予測 / 伝達関数 |
研究概要 |
本研究では、「いつまで津波の警戒が必要な状態が続くのか?」をリアルタイムに予測できる手法の開発を目指すために、津波観測データの解析、津波数値計算、常時波浪・潮汐の解析、理論的考察を組合せて、「津波はどのように減衰するのか?」を解明し、平均津波振幅の時間変化モデルを改良することを目的としている。本年度は、以下のとおり実施した。 (1)定常な海面変化の観測 現地収録方式の可搬型水圧計を組み込んだ水圧観測装置2式を製作した。また、これを用いた常時波浪・潮汐の予備観測を仙台湾で実施するための準備として、設置個所と設置・回収作業手順の検討をした。 (2)数値実験による沿岸の津波挙動の解明 日本列島太平洋沿岸における空間分解能135mの海底地形デジタルデータを作成し、2011年東北地方太平洋沖地震津波の試験計算を行った。陸棚規模の海底構造に起因した津波継続特性把握のための津波数値実験の準備を進めた。 (3)津波観測データ収集と検潮所記録紙のデジタル化 数値実験と常時波浪・潮汐の対象海域内にある潮位観測施設の津波時の観測データを収集した。検潮所記録紙のコピーから波形デジタル化装置を用いて時系列デジタル水位値を作成するデジタイズ手順を確立した。また、この方法を用いて、1950年代の津波事例2例について約15秒間隔の時系列デジタル水位値を作成した。 (4)津波減衰過程の解析 1952年以降に日本で記録した津波のうち8事例の実測波形から減衰率を求めて比較し、津波の減衰率が波源の遠近や海岸への津波の入射角に依存する可能性を見出した。また、東京湾・大阪湾を例に閉鎖的な海域について、湾外から湾内への津波伝播遅延と津波の振幅の減少についての特徴を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
固定観測点間における伝達関数構築のための定常な海面変化観測は、仙台湾またはその周辺での予備観測を平成24年度中に完了する計画としていたが、沿岸部復旧事業との兼ね合いや、観測予定地での漁業権を持つ権利関係者との調整が長引いたため、平成25年度に観測を開始する計画に変更することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
津波観測データの解析、津波数値計算、常時波浪・潮汐の解析、理論的考察を組合せて、「津波はどのように減衰するのか?」を解明し、平均津波振幅の時間変化モデルを改良を目指す。その際、平成24年度に製作・開発した装置・手法(製作した水圧観測装置、数値実験に必要なデータ・プログラム、波形デジタイズ手法)を活用して〓〓を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度中に完了する計画だった定常な海面変化観測の予備観測を、平成25年度に観測を開始する計画に変更することとした。 測器の追加、旅費、傭船、観測データの解析に必要な経費に充てる計画である。
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