研究課題/領域番号 |
24310134
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松岡 延浩 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (80212215)
|
研究分担者 |
栗原 伸一 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (80292671)
松田 友義 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (70159151)
丸山 敦史 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (90292672)
石田 貴士 千葉大学, 園芸学研究科, 助教 (30623467)
松村 伸二 香川大学, 農学部, 准教授 (60165868)
近藤 昭彦 千葉大学, 環境リモートセンシング研究セン, 教授 (30201495)
小林 達明 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (40178322)
間野 正美 千葉大学, 園芸学研究科, 助教 (10391210)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 食の安心 / 食の安全 / トレサビリティ / 放射能汚染 / 競売実験 |
研究概要 |
平成25年度に開発したトレーサビリティシステムに可搬型トレーサビリティシステム端末を導入し,生産者もデータを同時に利用できるようにした。また,このトレーサビリティシステムの基礎情報となる,GIS上の環境情報の最適化を行った。平成24年度に松岡,近藤,小林が独立に整備した地形・地質・土地被覆図,水循環のあり方,放射線量,土壌放射性物質蓄積量等のメッシュデータを,トレーサビリティシステムに必要な,10mメッシュレベルで再整備した。これらに加えて,気象情報,後述の作物の生育状況に関する情報を整備した。このデータベースに,トレーサビリティシステムを接続することによって,消費者は栽培中の環境や収穫時の状況などを,必要なときに確認することができるようになった。また,カメラとセンサーと通信装置を組み合わせた屋外用の簡易計測機器システムを開発して,定植から収穫までの間,環境要因だけでなく,作業状況なども画像として保存できるようになった。 この改良されたシステムを用いて,平成24年度と同様に,福島産の農産物を利用して,購買実験によるトレーサビリティの価値評価を行った。平成24年度は主として,産地の空間線量,収穫時の放射能が購買行動に与える影響を評価し,①消費者の立場としては,どの様な環境で商品が栽培されているのかを購入時に知ることによって購買意欲が高まること,また,②必要な情報が現在では不十分なことが解明されたが,平成25年度の購買実験の結果から,比較的空間線量の低い東京都富士見市周辺だけではなく,比較的空間線量が高い千葉県松戸市周辺でも,同様な傾向が示されることがわかった。 これらのことから,巨大災害からの復興期において食品の安全・安心保証に必要なことは,農作物であれば,栽培環境をより正確にリアルタイムで伝達することであることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究目的のうち,①トレーサビリティシステムの改良と管理,②GIS上の環境情報の最適化,③農作物の生育状況モニタリング,④購買実験によるトレーサビリティの価値評価を実施し,後に示す論文などとしてプロダクトを作成することができた。 しかし,⑤第3者機関によるトレーサビリティシステムの認証制度の検討については,食品の安全性を担保するための第3者機関認証に関する組織の検討を開始するにとどまった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,放射能汚染の影響を直接受けなかった香川県高松市の購買実験,および食品ではない農作物(花卉)に関するアンケート調査を通じて,必要情報の収集を継続する。それらをとりまとめて,巨大災害からの復興期における食品の安全・安心保証に必要な情報に関わるとりまとめを行う。特に,①トレーサビリティシステムの改良と管理,②GIS上の環境情報の最適化,③農作物の生育状況モニタリング,④購買実験によるトレーサビリティの価値評価を引き続き行うとともに,上記の4項目を並行して実施し,平成26年度に最終的なトレーサビリティシステムの完成,および巨大災害からの復興期における食品の安全・安心保証に必要な情報の提供方法のとりまとめを目指す。
|