研究概要 |
三重県いなべ市藤原岳西之貝戸川において,2008年9月2日の土石流の発生直前までの堆積土砂断面での排水状況などの撮影に成功した実績をもつ画像データ記録装置(設置済)を用いて,平常時(無降雨時),中小降雨時,豪雨時における堆積土砂横断面での地下水排水実態を知るために,インターバルカメラによる画像撮影(5分ごとに1コマ撮影)を継続した。また,平常時,中小出水時も含めた堆積土砂横断面からの排水流量を計測し,そのハイドログラフを明らかにするために,パイプ孔での流量観測と堰堤水抜き口での超音波式水位計による水位計測(10分間隔)を継続した。水位データを流量データに変換して地下水ハイドログラフを作成するとともに,画像解析により,降雨時での排水量,排水箇所の時系列的な変化実態を明らかにした。さらに,堆積土砂横断面での観測地点から上流約400mまでの土砂堆積区間(次期土石流発生が予想される区間)において設置した自記水位計により,平常時,中小降雨時,豪雨時での堆積土砂区間での地下水変動特性(水位変化など)を明らかにした。堆積物のマトリックスの粒径から推定した透水係数(既知)などの既往調査成果もあわせて,堆積土砂横断面での地下水移動に対するダルシー則適用性の限界と管路の流速式,マニング式などの水理公式の適用性を検討した。また,堆積土砂区間にインターバルカメラを3基設置し,それらの画像を時系列的に解析して,渓流堆積土砂区間での豪雨時のパイプ孔からの噴出し,表面流,土石流の発生状況(場所,発生時間,継続時間,規模)を明らかにした。ついで,それらの一連の水文素過程の降雨発生領域をRBFN手法を用いて,土壌雨量指数と降雨強度の関係から明らかにした。
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