研究課題/領域番号 |
24310141
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
幸田 尚 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (60211893)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 顕微授精 / エピゲノム / 受精 |
研究概要 |
近年、ヒトの生殖補助医療の体外受精の約半数で顕微授精(ICSI)が適応されている。これまで我々はICSIによって作製したマウスの新生仔には、共通の遺伝子発現パターン変化が生じていることを明らかにした。これはICSI技術に由来するエピジェネティックな影響の存在を意味しており、ヒトにおけるICSIの安全性の確認が重要であると考えている。 本研究ではヒトの初期発生胚に及ぼすICSIのエピジェネティックな影響を明らかにし、その評価法を確立することである。そのため本研究ではヒトの生殖補助医療において、ICSI、IVFによって受精したヒト胚で、移植に用いられず廃棄される胚を用いて、遺伝子発現プロフィールを次世代シークエンサーを用いたRNA-seqにより解析することを計画した。 本年度は倫理審査の承認が得られたことを受け、関連施設を通してICSI、IVFによって受精したヒト胚で、移植に用いられず廃棄される胚の提供を受け、次世代シークエンサーを用いたRNA-seqによりゲノムワイドの遺伝子発現解析を開始した。解析にあたっては、前年度にマウスの初期胚を用いて検討を行い実験系を確立したT7 RNA polymeraseを用いた増幅法を用いることにより、単一胚からの発現プロフィールの取得を行って、良好な結果を得ている。 今後、サンプル数を増やし、ヒト体外受精胚においてICSIとIVFで受精した胚の間に遺伝子発現のプロフィールの差が認められるか否かの結論を得るべく研究を推進している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
廃棄することを決めたヒト体外受精胚を用いるために倫理審査が必要であり、倫理審査の申請から承認までほぼ1年間を要したが、承認を受けてヒト胚を用いた研究を開始することができた。また、モデル動物であるマウスを用いた2細胞期において顕微授精によって影響を受ける遺伝子の同定については順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト胚の提供を順調に受けていることから、最終年度ではヒト体外受精胚においてICSIとIVFで受精した胚の間に遺伝子発現のプロフィールの差が認められるか否かを明らかにするとともに、マウスにおいてICSIの影響を受ける遺伝子との比較解析を行い、原因となる機構の解明とICSI技術の向上・改善を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していたヒト胚の解析のための倫理審査の承認がおりるのにおよそ1年の時間がかかってしまったため、今年度に次世代シークエンサーを用いて解析を計画していた解析に未だ若干の遅延が生じているため。 解析を行うヒト胚については順調に提供を受けていることから、最終年度の間に当初計画していた解析は十分完了すると考えている。
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