研究課題/領域番号 |
24310143
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研究機関 | 公益財団法人かずさDNA研究所 |
研究代表者 |
中山 学 公益財団法人かずさDNA研究所, ヒトゲノム研究部, 主任研究員 (30370927)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオテクノロジー / 遺伝子 / 動物 / 機能ゲノム / 発生・分化 / 部位特異的組み換え / 病態モデルマウス / 有用遺伝子探索 |
研究概要 |
部位特異的組み換えシステムであるCre/loxPやFlp/FRTシステムは、34塩基の組み換えサイトに挟まれた領域を除去、反転することにより部位特異的にゲノムを改変することができる広く汎用されているテクノロジーである。マウスのコンデショナルノックアウトの実験では、中心的な技術でありCre/loxPシステムがエクソン除去のために、Flp/FRTシステムが(発現を邪魔する可能性がある)薬剤耐性遺伝子の除去のために両者のシステムが同時に用いられる。我々は Cre/loxPと認識サイトが異なり、同一細胞内で使用することができる新しい部位特異的組み換え酵素システムを開発した。これらの新規部位特異的組み換えシステムであるVCre/VloxPとSCre/SloxPをマウス内で用いることにより、ヒトゲノム解析結果から得られた知見を基にした疾患モデルマウスの作製に必要とされる緻密で複雑なゲノム改変が可能であることを示すことを目指している。VCre/VloxPとSCre/SloxPシステムが実際にマウスで有用なツールとして使用できることを実証するために、VCre蛋白質やSCre蛋白質発現マウス、ならびにマウス内で組み換え反応が起きたことを検出するためのVloxPサイトやSloxPサイトを持つリポーターマウスを作製し、各組織での発現の有無をウエスタン法により解析を行なった。更にVCre/VloxPとSCre/SloxPシステム以外の新規組み換え酵素のスクリーニングを行ない、様々な環境下で生育している細菌由来の8種類の部位特異的組み換え酵素とそれらの認識サイトを同定し、大腸菌内で部位特異的な組み換えが起こることを確認した。このような多数の部位特異的組み換えシステムを組み合わせて用いることで細胞レベルやマウス個体レベルでゲノムエンジニアリングを行なうための有用な実験手法が開発されることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TGマウスとKIマウスを計画通りに作製し、マウスの各組織でのウエスタン法による解析を進めることができた。マウスの実験には交配や育成に時間がかかってしまうことは想定の範囲内である。本年度は更に8種類の部位特異的組み換え酵素とそれらの認識サイトを同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
TGマウスとKIマウスを更に多数・多種類作製して、部位特異的組み換え酵素が十分量発現する発現するマウスをスクリーニングし、解析を行う。VCre/VloxPとSCre/SloxPシステムのテクノロジーを発展させるために、人工染色体(HAC)と組み合わせた実験手法の開発を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
効率的な試薬等の使用ができたことと、4月に実験スペースの移動が予定されていたため古い機器類の買い替えを数ヶ月程度遅らせたので当該助成金が生じた。 次年度も引き続き、効率的な助成金の使用を行うとともに研究の更なる発展が得られるように計画的な使用を試みる。
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