研究課題
部位特異的組み換えシステムであるCre/loxPやFlp/FRTシステムは、 組み換え酵素依存的にゲノム中の特定の領域を除去及び反転を行なうことができるテクノロジーであり、生体内でのゲノム改変に用いられてきた。マウスのコンデショナルKOの実験においては、Cre/loxPシステムがエクソン除去のために主に使用され、Flp/FRTシステムが(発現を邪魔する可能性がある)薬剤耐性遺伝子の除去のために使用されるというように両者のシステムが同時に用いられることが多い。我々は Cre/loxPと認識サイトが異なり、同一細胞内で使用することができる新しい部位特異的組み換え酵素システムを開発した。マウス内でこれらの新規組み換え酵素システムが使用できることを確認するために、プロモーターとEGFPの間に2個のVloxPサイトで挟まれたSTOPカセットを配置したレポーターマウスを作製してきたが、このマウスの検定のために13日目の胎仔マウスから初代培養細胞を作製した後に、リポフェクタミン2000法を用いてpTurboVCreプラスミドを細胞に導入してVCre蛋白質の一過的な発現をさせた。VCre蛋白質の発現によりレポーターマウス由来の初代培養細胞内で部位特異的な組み換えが起こり、蛍光顕微鏡下でEGFPの蛍光が確認できた。次にVCre/VloxPとSCre/SloxPシステムの有用性を示すアプリケーション例を増やすために、VloxPとSloxPを使用したRMCE(組み換え酵素依存的なカセット交換)法を用いて、効率的に外来の遺伝子を人工染色体(HAC)上へ導入することができる改良型のHACを作製した。更にヒトゲノム解析結果から得られた知見を基にした疾患モデルマウスの作製に必要とされる緻密で複雑なゲノム改変が行えることを明らかにすることができた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Chromosoma
巻: 124 ページ: 107-118
10.1007/s00412-014-0488-3.