研究課題
本研究計画は、リボソームプロファイリングという新しい手法を用い、翻訳装置の基本的性質や、薬剤による翻訳阻害の実体、翻訳関連因子などの働きをゲノムワイドに明らかにすることが目標である。本年度、以下のような実績を得た。1. A-siteにおける同義コドンのデコーディングの違い。同一tRNAによるデコーディング能力の差を明らかにするため、通常は2つまたは3つのtRNAで読まれる4コドンボックスアミノ酸7種類について、ゲノム上のtRNAの種類を減らす試みをし、4種類について、通常の株とのリボソーム密度の比較を行った。通常考えられているのとは異なり、大腸菌においても、アンチコドン一文字目にUを持つ一種類のtRNAでコドン3文字目のAUGC全ての塩基をデコードできることが分かった。ただし、それぞれのコドンでリボソーム密度は異なっており、デコード効率に差があると思われる。一文字目UのtRNAだけの株の生存可能性と、コドン3文字目の使用頻度には関連があり、デコードの遅いコドンが多いものでは致死になるものと思われる。2. anti-RBS配列が翻訳開始やその他の領域の翻訳効率に与える影響の解析。anti-RBSを改変するため、7つのrRNA遺伝子をゲノムから欠失した株を新たに作製し、プラスミドからrRNA遺伝子を供給した株について野生型と改変型anti-RBS株の比較を行った。anti-RBSの改変は増殖速度に極めて大きな変化をもたらしたが、anti-RBSの効果と考えられてきたORF中のanti-RBS類似配列での翻訳効率低下に与える影響はほとんど無い事が分かった3. puromycinの効果の解析 purimycinについて、in vivo, in vitroでのリボソームプロファイルによる翻訳アレスト部位の同定とトープリントによる確認を行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Nucleic Acids Research
巻: 43 ページ: D606-D617
10.1093/nar/gku1164
BMC Genomics
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