研究課題
1)鎖状化合物としてグリセロ脂質への適用を実施した。グリセロ脂質は、生体中にあまねく存在し、グリセリンに脂肪酸がエステル結合した脂質である。二つのカルボニル基を有することにより、不斉炭素が生じるが、本立体化学の決定は、一般に非常に困難であり、我々の開発した手法の適法を試みた。グリセロ脂質は、古細菌ではsn-1 型、真正細菌や真核生物では、sn-3型のみであると考えられていたが、最近になって哺乳類にもsn-1 型のグリセロ脂質が存在することが判明しており、グリセロ脂質における立体配置と生命進化の関係を解明する新たな解析法の開発が望まれていた。グリセロ脂質の持つ2つのカルボニル基に注目し、立体既知のジオールから数工程を経て十数種類のグリセロ脂質の合成を実施した。合成化合物のVCD を測定し、グリセロ脂質とVCD スペクトルの形状における関係を調査した結果、本VCD励起子法がグリセロリン脂質についても、適用可能であることを示しことに成功した。2)高分子化合物への適用高分子化合物として、ポリ乳酸に着目した。ポリ乳酸は生分解性のプラスチックとして、実用化が進んでいる高分子エステルである。固体状では、その構造がらせん構造であることが知られているが、溶液中での構造解析情報はいまだ報告されていない。そこで、VCDを用いることによりポリ乳酸、ポリ乳酸-アミロース複合体、オリゴ乳酸の詳細な構造解析を実施した。市販ポリ乳酸を入手するとともに、単量体、二量体、三量体、 四量体、合成を行い、VCDを測定した結果、明確な分裂型シグナルを観測することに成功した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件)
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