研究課題
特定遺伝子発現の化学的な機能分子による制御法の実現に向けて、申請者はDNAの遺伝子配列中の1塩基対の変異体の差異を認識する能力を持つ機能性ピロール(Py)-イミダゾール(Im)ポリアミドの研究開発を進めている。将来的に、培養細胞内の特定遺伝子の発現を機能性Py-Imポリアミドの配列特異性によって制御可能であることを証明し、遺伝子発現制御分子としての有用性を示していく。2014年度は、以下に示すように島津製Fmoc固相合成機を本格的に駆使することによって、様々な標的塩基配列に対応す各種機能性Py-Imポリアミドを合成し、それらの機能評価を進めた。(1)SAHA (suberoylanilide hydroxamic acid)をPy-Imポリアミドに連結させた誘導体によって、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)中の様々な初期化遺伝子群を特異的に活性化したことを報告した。(2)ヒトテロメア配列を標的とする蛍光性タンデム型Py-Imポリアミドの合成、機能評価。(3)CAG繰り返し配列を標的とするクロラムブシル- Py-Imポリアミドの合成、機能評価。(4)アルキル化能を有するタンデム型Py-Imポリアミドの合成、機能評価。(5)次世代シーケンサーを用いるSAHA Py-Imポリアミドの特異的結合、認識能評価。本研究の進展により、培養細胞中の特定遺伝子群に対して特異的に作用する機能性Py-Imポリアミドの開発研究が進展している。現在、特許に出願中であるエピジェネティクスを制御する可能性のあるCTB Py-Imポリアミドの機能評価を進めており、得られる知見、実験結果を論文としてまとめる予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
特許出願を優先したため、論文報告が遅れた研究もあるが、全体として研究の核となる研究知見は十分に見出されており、機能性Py-Imポリアミドの研究を蛍光によるイメージング、HDAC阻害活性による遺伝子発現活性化、アルキル化反応へと広く展開することができた。三年目の研究実績として、順調に進展していると考える。
ヒトテロメア配列を標的とする蛍光性Py-Imポリアミドの合成の改良を行い、それらの機能評価の結果を論文としてまとめる。また、最新の次世代シークエンサーを用いたDNA塩基配列認識能評価の結果、現在得られている結合認識能に関する知見、実験結果も論文としてまとめる予定である。
外国への試薬代と論文校正代を3月支払いに予定していたものが、4月のカード払いとなったため。
外国への試薬代と論文校正代として4月に使用を予定している。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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