研究課題
機能分子による化学的な特定遺伝子発現制御法の実現に向けて、申請者はDNAの遺伝子配列中の1塩基対の変異体の差異を認識する能力を持つ機能性ピロール(Py)-イミダゾール(Im)ポリアミドの研究開発を進めている。これまでに培養細胞内の特定遺伝子の発現を機能性Py-Imポリアミドの配列特異性によって制御可能であることを証明し、遺伝子発現制御分子としての可能性を示してきた。2015年度は、島津製Fmoc固相合成機を駆使して、様々な標的塩基配列に対応する機能性Py-Imポリアミドを合成し、それらの機能評価を進めた。(1)ヒストンアセチル基転移酵素を活性化する機能分子であるCTBをPy-Imポリアミドに連結させた誘導体によって、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)中の遺伝子群を特異的に活性化することに成功した。(2) KRASの変異Codon12配列を特異的に認識してアルキル化するPy-Imポリアミドを合成し、その変異をもつ癌細胞を移植したマウス実験にて抗がん活性を評価した。(3)ヒトテロメア配列を標的とする蛍光性タンデム型Py-Imポリアミド三量体の合成と評価を実施。(4)共同研究として特定遺伝子発現制御能を持つPy-Imポリアミドの合成と評価を実施。本研究成果として、培養細胞中の特定遺伝子群に対して特異的に作用する機能性Py-Imポリアミドの開発研究が進展した。現在、エピジェネティクスを制御する機能性Py-Imポリアミドについてまとめるために、次世代シーケンサーを積極的に用いて解析評価を進めている。得られた知見、研究成果は2016年度に論文としてまとめる予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 4件) 備考 (1件)
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