研究課題
本研究では、植物の芳香族基質プレニル基転移酵素ファミリーに関する研究領域の深化と発展を目標として、重要なクマリンのプレニル化酵素を中心に据え、そのクローングと、現在まで全く報告例のないO-プレニル化酵素の取得を目指した。これら新しい機能的特徴を持った酵素蛋白質がどのようなアミノ酸配列を持つのかを知ることは、酵素化学の基礎的理解に資するものとして、また酵素蛋白質の分子進化を論じる上で極めて重要である。さらに、これまでプラスチド局在としてしか論じられてこなかった本酵素群の詳細な膜局在性の解析を行うことを目指す。クマリンのプレニル化酵素遺伝子を当初、O-プレニル化活性の高いカンキツ類に求めて、レモンやグレープフルーツなどから6種類のプレニル基転移酵素(PT)の遺伝子をクローニングして活性をNicotiana benthamiana の系で確認した。いずれもクマリン基質のPT活性を示したが、全てC-プレニル化酵素活性を示した。そこで次世代シーケンサーを用いてグレープフルーツのRNA-Seq 解析を行い、新たにO-PTの候補として4クローンを取得した。これについては現在酵素活性の確認を行っている。なお、レモンのCl-PT1はユニークなゲラニル化活性を示し、これに関しては、Plant Physiology, Vol. 166, pp. 80-90, 2014 で公表した。一方、セリ科のアシタバからクローニングしていたAkPT5とAkPT7と仮称する2種のPTが、それぞれ、クマリンとカルコン(フラボノイド)のO-プレニル化活性を示す事を明らかとした。現在、N. benthamiana の系で発現させ、論文化に必要なデータの取得を行っている所である。PTの膜局在性に関しては共焦点レーザー顕微鏡解析から、プラスチド内膜に局在するとのデータを得た。これも上記のデータと合わせ論文化する。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Physiology
巻: 166 ページ: 80–90
10.1104/pp.114.246892
Plant Biotechnology
巻: 31 ページ: 567-571
10.5511/plantbiotechnology.14.0918a
バイオサイエンスとインダストリー
巻: 72 ページ: 312-314
http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/lpge/publications.html