研究課題/領域番号 |
24310162
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
難波 康祐 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50414123)
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研究分担者 |
村田 佳子 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所, 主席研究員 (60256047)
小田 真隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00412403)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 蛍光発色団 / トリアザペンタレン / シデロフォア / 細菌検出 |
研究概要 |
前年度までに1,3a,6a-トリアザペンタレン (TAP) の5位への置換基導入法を確立した。これにより、トリアザペンタレン類は2位で蛍光波長を、5位で蛍光強度を制御できる画期的な蛍光発色団であることを明らかにすることができた。本年度では、この知見を基に作成した高発光性トリアザペンタレン類を各種シデロフォアに導入することを試みた。導入するシデロフォアとして、重篤な食中毒を引き起こす腸炎ビブリオのシデロフォアであるビブリオフェリンおよび鉄イオンとの親和性が最も高いサルモネラ菌由来のエンテロバクチンを選択し、ビブリオフェリン及びエンテロバクチンの化学合成を検討した。ビブリオフェリンについては、リンゴ酸を出発原料として、立体選択的アリル化を行った後、アリル基の酸化的開裂によって不斉のクエン酸誘導体部位を合成した。ついで、リシン誘導体とエタノールアミンとの縮合により得られるユニットとの脱水縮合を行った後、ケトグルタル酸との縮合によりTAP 導入サイトを有するビブリオフェリンの保護体を得た。またエンテロバクチンに関しては、セリン誘導体の3量化につづくマクロラクトン化、窒素へのカテコール部位の導入によってエンテロバクチンの全合成を達成した。現在、化学合成したビブリオフェリンおよびエンテロバクチンへのTAPの導入を検討中である。また、よりコンパクトかつ光照射に安定なTAPの開発を行い、ビニルケトン部位を有する最もコンパクトなTAP蛍光標識基TAP-VK1を開発した。TAP-VK1は硫黄のみを選択的に標識し、標識によって蛍光強度が大幅に増強される実用的な蛍光標識基であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、蛍光標識シデロフォアの合成を到達目標としていたが、現在までにビブリオフェリンおよびエンテロバクチンの二つのシデロフォアの全合成に成功した。これに加えて、蛍光標識基としてより実用的なTAP-VK1の開発にも成功していることから、次年度の計画である蛍光シデロフォアの生細菌への取り込み実験が円滑に推し進められると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までにビブリオフェリン及びエンテロバクチン2つのシデロフォアの全合成に成功していることから、迅速なTAPおよび他の蛍光標識基の導入を達成する。蛍光標識シデロフォアの合成が達成できれば、腸炎ビブリオ細菌への取り込みを観察し、本研究課題で提案した細菌検出法が原理的に可能であるかを検証する。またエンテロバクチンについては、鉄イオンセンサーとしての利用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月に納品となり、支払いが完了していないため 4月に支払い完了している
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