研究課題/領域番号 |
24310167
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
清水 史郎 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (30312268)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Pirin / 骨粗鬆症 / 骨転移 / ケミカルバイオロジー / 構造活性相関 |
研究概要 |
本年度は、骨粗髪症薬やがんの骨転移抑制剤の新たな候補化合物の探索としてPirin阻害剤であるTPh Aの誘導体の構造活性相関研究を行った。約80種類の類縁体についてRANKLで誘導される破骨細胞分化の抑制活性を評価したところ、多くの化合物で阻害活性がなかったのに対し、いくつかの化合物でTPh Aと同等の阻害活性があった。MOEを用いて、化合物群とPirinとの親和性を評価したところ、破骨細胞への分化抑制活性とPirinとの親和性には相関がなかった。そこで、Pirinの発現をsiRNAでノックダウンしたところ、RANKLで誘導される破骨細胞への分化は阻害されず、ノックダウン条件下でもTPh Aの阻害活性があった。このことから、TPh AはPirin阻害とは独立して分化を抑制した可能性が示唆された。 一方、TPh A処理でPirinの発現量が増加する現象に着目した。このことは、TPh Aによる分化阻害が、Pirinを阻害したためでなく、Pirinを増加させたためである可能性が考えられる。そこで、TPh Aの処理時間を変えて、阻害のパターンとPirin発現量のパターンを比較したところ、両者に相関はなかった。よって、TPh Aによる分化阻害にはPirinが関係ないことが示された。 また、TPh A類縁体の中で、分化阻害活性が強く、一定の規則性がある化合物群を得ることができた。これらの化合物はMOEによる予測でも、また化合物アレイを用いたケミカルバイオロジー的な手法でもPirinとは独立して作用していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
TPh Aによる分化抑制効果がPirinとは独立していることを証明できたことや、TPh A以上の阻害活性を有する化合物を取得することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
TPh Aの分化阻害効果にPirinが必要でないことが示されたことから、今後はより阻害活性の強い類縁体を使用し、その標的分子を同定することで、新たな分子標的の提示を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
さらにTPh Aの類縁体について阻害活性を評価することで、今後使用する最適な化合物を決定する。そして、その化合物が固定化されたビーズを使用して、新たな分子標的を同定する。
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