研究課題/領域番号 |
24310169
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉野 邦彦 筑波大学, システム情報系, 教授 (60182804)
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研究分担者 |
神田 房行 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70091527)
串田 圭司 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (90291236)
足立 泰久 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70192466)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リモートセンシング / 湿原生態系保全 / 釧路湿原 / 高層湿原 / 湿原植物群落 / 群落変化 / 環境モニタリング |
研究概要 |
植物群落の分布は,生育地の環境を大きく反映し,また,その変化は環境変化と直結しているため,本研究で解明を目的とする最適空間解像度については,対象地に分布する植物群落の空間特性と時間特性,スペクトルに依存する.本研究では,最大の精度で,植物群落が判別,分類が可能な場合の空間解像度が,最適な空間解像度と見なすこととする.今年度は最適空間分解能を明らかにするため,以下の解析を進めた. 1)最適空間分解を明らかにするためのデータ解析(4月~12月):空間解像度が数cmの湿原リモートセンシング画像を用いて精細な植物群落図を作成した.そして,それらの植物群落図に対して,空間統計学に基づくセミバリオグラムと景観生態学で使用される景観指標を分析し,理想的空間解像を明らかにした.その結果,①研究対象地に存在していた植物群落の平均最小範囲から,植物個体が画像上で認識できる数cm以下から30cm以下の空間解像度が必要であることが判明した.②植物群落ごとに必要最小空間解像度は異なり,湿原観測のための最適空間分解能を議論するためには観測の主対象とする植物群落種を明確にしておくことが必要と考えられた. 2)最適観測スペクトル波長帯を明らかにするための画像データ解析(10月~翌3月):赤沼_2010年8月撮影のWV-2_8マルチバンド画像を購入した. 3)最適な観測のタイミングと観測頻度を明らかにするためのフェノロジー連続観測の継続(4月下旬~10月中旬):研究期間中に現地にインターバル映像レコーダーを設置し,春夏秋の間,フェノロジーの連続観測を継続した. 4)植生生育期における現地植生調査とGPS測量調査他(7月~8月):画像判読のための地上植生調査ならびに航空機空中写真解析のための地上基準点座標のGPS測量を行った(吉野・串田,串田G).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,研究の目的に対して概ね順調に進展している.湿原植物群落分類のための最適空間分解能については明らかになったが,最適観測分光波長帯の解明研究が遅れている.その理由は,最適空間解像度に関する解析結果の情報公開(学術論文投稿ならびに掲載)に想定以上の時間がかかり,湿原群落観測のための最適分光波長帯についての分析が遅れている.すでに,解析のためのデータは揃っているので,この遅れは十分,今年度中にリカバリー可能である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,湿原群落観測のための最適分光波長帯の究明を主とする予定である.そこで,湿原群落観測のための最適分光波長帯を明らかにするために,1994年撮影の航空機ハイパースペクトル画像データ(約90バンド)の解析を重点的に進め,検証のために,現有するポータブルスペクトルメータを使用して植物群落の現地分光反射係数の測定を行う.群落間の分光反射データの差異について,統計的検定を行い,群落間で有意な差を持つ分光波長帯を明らかにする. 植物群落調査については,神田北海道教育大学名誉教授に代わり,露崎北海道大学教授(植物生態学)の協力を得る.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が,上記の金額となった理由は,国際学会発表を取りやめたためである.本研究での成果発表は,H26年度ないし最終年度に国際学会で発表する予定である. 次年度使用額については,国際学会発表のための出張旅費,並びに論文投稿料,英文校閲費として支出する予定である.
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