研究課題/領域番号 |
24310176
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
家田 修 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (20184369)
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研究分担者 |
今中 哲二 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (90109083)
城下 英行 関西大学, 社会安全学部, 助教 (10581168)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原発事故 / チェルノブイリ / アイカ / 福島 / 放射能汚染 / 地域 / 社会防災 / 原子力 |
研究概要 |
本研究概要は以下の通りである。 1)目的:福島原発事故による放射能汚染は自然や人体に影響を及ぼすだけでなく、地域を変容させている。本研究は大規模環境汚染事故と地域という広い枠組でこの問題を捉え、外国での先例を基に長期的な見通しを明らかにする。 2)目標:チェルノブィル、アイカの先例を調査し、「地域の崩壊と復興」過程を解明する。 3)特色:地域研究、原子力安全研究、社会防災学という文理にわたる連携で、事故後の「フクシマ」及び日本の将来像を見通す。 4)大学=市民連携:調査研究成果を市民に公開講座として随時発信する。 初年度は文献的基礎研究および福島と海外での現地予備調査の実施を予定した。具体的には1)聞き取り対象集落の選定、2)調査項目の詳細の検討、3)現地協力者の選定を掲げた。 研究調査の実績概要:平成22年からの予備調査のおかげで、平成24年度は1)、2)、3)のいずれの項目においても目標を達成し、25年度計画の一部も達成した。さらにホームページの立上げや市民講座の実施も25年度分を前倒し、合計10回実施した。 また二年目に予定した中間的ワークショップを関連研究者と連携し平成24年11月に福島市で、平成24年3月に東京大学で実施した。 調査結果からの知見:チェルノブイリでは事故直後の1986年末に2千名体制の研究所(現在のウクライナ国立放射線医学研究センター)が発足し、他の多くの研究所と連携して人体と生態への影響を総合的に研究する体制が生まれ、治療に役立てている。近年は社会心理学面での研究も加わり、さらに人類学的な文化遺産保全の動きも生まれ、被爆者の救済に社会的、心理的側面が考慮されている。ハンガリーでは被災地復興に関し、個人別賠償方式でなく、原状回復原則による集団移転が採用された。福島ではNPOレベルでこうした動きがあるが、行政や損害賠償では海外の先行例が生かされていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
二年度に予定していた研究成果の中間報告を初年度において実施できた。2)研究の進展の中で明らかになったロシア語文献データベースの構築という新たな課題について、別の予算枠を獲得することで、本研究を側面から補完することができた。 3)市民講座は予想以上の反響を得て、当初予定を超えた回数を実施することができた。4)類似の研究を行なうグループとの連携が成立し、それぞれが相乗的な研究成果を生んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に中間報告ワークショップを実現できたので、二年度は拡大ワークショップを開催し、さらに関連研究者との連携を深め、研究のさらなる進展を図ることにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度において当初予定よりも研究調査が大きく進展したので、それに伴い講演会の開催及び資料収集とその整理のための経費を前倒しした。しかし、納入期限の制約などで資料は年度内に取得不可能となったため、それに関連する諸経費を次年度に繰り越した。今年度はこの繰り越し分を、当初の計画通りに本年度分として実施する。
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