研究課題/領域番号 |
24310190
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
山岸 智子 明治大学, 政治経済学部, 教授 (50272480)
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研究分担者 |
吉村 慎太郎 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (40220735)
黒田 卓 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70195593)
松永 泰行 東京外国語大学, その他部局等, 教授 (20328678)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / フィールドワーク / イラン / 近代史 / 中東 / 国際関係 / インターネット / イスラーム |
研究概要 |
2013年度の研究の主要な課題は、(1)現在進行形のネットワーキングの変容をフィールドワークで明らかにすること、(2)20世紀のネットワーキングが社会的運動にどのように活かされたか、その諸相について探求すること、であった。(1)については3名がイランでのフィールドワークを行い、3回の会合を開いた。(2)についてはフランスのプロヴァンス大学からBromberger教授を迎え研究会を1回開いた。 (1)について重点となったのは、2013年6月に行われた大統領選挙をめぐるイラン人の動向で、研究分担者の吉村はテヘランで、協力の鈴木は遊牧民地域(ボイル=アフマド・ヴァ・クーフギールーイェ)で現地調査を行った。また、代表者の山岸と協力者のファクレジャハニは、ゲンロンカフェで大統領選挙前夜に討論イベントを行った。吉村が現地調査で観察した内容の一部は、7月の加藤博(一橋大学教授)とのディアローグ形式の研究会で、エジプトとの対比を通じて明らかにされた。また、鈴木の現地調査については12月21日の研究会で発表された。いずれの研究会も公開とし、20名近い参加者を得て、イラン国内の諸組織とネットワーキングについて、活発な議論を喚起することができた。また研究協力者の細谷がイランで医療関係者の聴き取り調査を行っている。 (2)のために、20世紀初頭のギーラーン(イラン北部)で起きたジャンギャリー運動について、研究分担者黒田と招聘研究者ブロンベルジェを中心に、その運動の国際的な性格とローカルな性格について分析し、地方における社会運動のありかたの一つの原点の様相を明らかにすることができた。 協力者のファクレジャハニは家族のネットワークのあり方について、2回にわたって『世界』(岩波書店)に論文を掲載し、その研究成果を公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクト発足当時に心配された現地調査の可否については、ほぼ支障なく実行できており、大統領選挙前後の動きについても現地で観察することができた。文献による研究も着実に進めつつある。問題は、研究分担者・協力者が一堂に会することが難しく、観察してきたこと・分析した内容を持ち寄って検討する時間が十分とれていないことである。この点については、2014年8月のイラン国際学会第10回年次大会へのパネル参加など研究内容をさらに洗練させる機会で、補いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2013年の大統領選挙の時に発動したネットワークについての追加調査、医療関連のNGOについての追加調査、資料収集と文献資料による研究を続ける。また、ネットワーキングのモデルを考案して分析の一助となし、これまでの観察結果と議論してきた事柄を総合し、筋道を立てて説明すべく、論理面での学問的貢献に向かう努力も強化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年6月の大統領選挙の時期にフィールドワークを行ったが、本務校の仕事の都合で、予定よりもずっと短い期間しか現地に滞在することができなかった。後から確認できる事柄については、次年度にまわすこととした。 イランで追加調査を行うための旅費とする。
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