晩産化・超少子化・高齢化が同時進行する東アジア諸国において、介護と育児のダブルケア分担という新たな社会的リスクが進行している。各国において、その対応の仕方の共通点や差異は何かを、ミクロな家族の実態分析と制度分析を通じて、日本・韓国・中国・台湾・香港とのケアレジーム比較研究から、明らかにすることを目的としてきた。最終年度は、大きく二点の重点課題、すなわち、(1)これまでの調査分析を論文へとまとめていくことと、(2)シンポジウム開催や地域社会への還元、に取り組んだ。
第一に、研究実施計画通り、国際社会学会(ISA横浜大会)で、日本のダブルケア調査分析と、日本・韓国・台湾・香港の比較調査分析の発表を行い、有益なインプットを得ることができた。日本のダブルケア調査分析の論文は、共同研究者とともに英語の共著論文として近刊される。比較調査分析については、一部、追加調査を現在実施中であり、そのデータを補充した後、査読付き英語論文へ投稿する準備を進めている。
第二に、研究実施計画通り、ダブルケア研究のホームページを通じて、社会的発信を行うとともに、2015年1月20日に横浜市政策局後援で、ダブルケアシンポジウムを実施し、100名以上の方々にご参加いただき、分科会討論も活発になされた。具体的な地域ダブルケア支援実践もはじまり、研究の地域社会的還元にも力を注いでいる。ダブルケアというテーマから、政策イノベーションの研究としても注目すべき活動が生まれている。
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